会社を辞めて起業する「脱サラ」。
リスクは高めですが、他の起業方法より選択肢が多いメリットがあります。
仕事量も収入も、自分でコントロールできるのも魅力ですね。
一方で時には身銭を切らなければならなかったり、収入が不安定になったり…と注意点も多くあります。最悪の場合、自己破産まで追い込まれる可能性も。
失敗したときのことを考えると、「自分が脱サラしても、大丈夫なんだろうか…?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回、脱サラして成功しやすい人・失敗しやすいポイントをまとめました。
あわせて起業するためにするべき準備もご紹介します。「脱サラしたいけど、何から始めればいいのか分からない!」という人にも、必見です!
脱サラ(起業)して成功する人はどんな人?
起業自体は誰でもできます。事業内容が違法だったり無許可営業だったりしない限りは、問題なく起業できるようです。
脱サラした人が10年後、同じビジネスを続けている割合は3~6%とも言われています。
脱サラして成功するためには、「どんな人が成功しているか」を調べるのも有効です。
ここでは成功している人の共通点をご紹介します。
セルフマネジメントができる
脱サラすると、サラリーマンでいう勤務時間や勤務場所を自分で決められます。仕事量も自分でコントロールできます。
それだけに、自分で自分の行動を律することができないと経営が難しくなります。例えばスケジュール管理ができないと、取引先から信用を損なう事態になりかねません。
他にも自分のメンタルをコントロールできないと、つらい時期を乗り越えられず経営を続けられなくなる可能性があります。
何かあっても責任を取るのは自分です。「起業したのに生活が豊かにならない」と嘆いても、誰かのせいにはできません。サラリーマンだったら転職や相談で解決できますが、起業すると自分で何とかしなければなりません。
コミュニケーション能力が高い
起業すると、自分のビジネスを自分で売り込まなければなりません。さらに取引先と交渉を進めるのも自分です。
社交的な人は人間関係をスムーズに築き、ビジネスにつなげることができます。自力で仕事を取ってこれるので利益を上げやすいんですね。
社交的でなくともコミュニケーションスキルがあれば、成功する希望を持てます。
内向的な方は初対面の方と上手に付き合えないと言われますが、長期的な人間関係に強いそうです。人の気持ちに敏感で謙虚な方が多いため、深い人間関係を築きやすいんですね。
初対面の人と接するのはちょっと…という方は、ツールや人を頼ることも大切です。
例えば宣伝活動は得意な人にお願いしたり、直接対面しないSNSを活用したりすれば効果が得られます。
なんでもかんでも自分一人でしなければ…という思い込みも、失敗するリスクを上げてしまいます。使えるものはガンガン使いましょう!
リスク管理ができる
脱サラで成功する人は、起業前の準備に余念がありません。
「これ以上はやってみないと分からない」というところまでシミュレーションして、対策をたてています。
例えば起業前に信頼できる取引先を確保していたり、自己資金に余裕をもって開業していたり…と、開業後につまずく要素をなくしているそうです。
他にも多くの脱サラ経験者は、起業する前に経営の勉強や事業に関する情報収集も行っています。
起業後のリスクを想定しているので、つまずく回数が少なく損失も最小限におさえられるんですね。
脱サラで失敗する理由とすぐできる対策
起業は誰でもできますが、必ずしも成功するとは限りません。初期投資を回収しきる前に廃業した場合、財産が減った状態で再出発をする羽目に…。融資を受けていたなら、その返済も続けなければなりません。
そうならないためにも、脱サラする前にできる対策は済ませておくことをおすすめします。
ここでは、脱サラして失敗しやすいポイントと、対策についてまとめています。
勢いだけで脱サラした
起業の目的が決まらないまま、勢いだけで脱サラするのは危険です。
「このビジネスは儲かる!」「これであなたも収入ウン倍!」といった広告を見かけますが、簡単にお金が稼げるなら、みんなその方法で生計を立てています。
企業から経営ノウハウを提供してもらえるフランチャイズでは、その使用料としてロイヤリティを受け取っています。つまり、経営ノウハウを売って儲けているんですね。
それだけ、経営を続けていくのは大変なんです。
「多分自分なら上手くやれると思う」「会社のやり方が受け入れられない」といった理由で脱サラを考えている方は、いま一度しっかり情報収集を行ってみることをおすすめします。
起業に関する勉強をしてみたら、「案外うちの会社、上手くできてる」と感じるかもしれません。
目標もなく起業した
例えば「会社の人間関係に疲れた」「何となくかっこよさそうだったから」といった理由だけで起業するのは、おすすめできません。
むしろ起業したことで深刻化してしまう可能性があるからです。
ビジネスを続けていると、何度も壁にぶつかります。そのとき「何となく」で起業していると、心が折れるのも早いんだそう。しっかりとした目標があると、つらい時を乗り越えやすくなります。
起業する目的がない方は、いったん立ち止まって振り返ってみることをおすすめします。
脱サラの理由がマイナスなものでも、そこから目標を見つけ出せば、それが起業する目的につながります。
「自分は人間関係で苦労したけど、同じ思いをする人を助けるツールを作りたい」
「企業と求職者をつなげるビジネスを立ち上げて、自分みたいな求職難民を減らしたい」
といった、世間に貢献できる目標につながれば、事業のアピールポイントにもなりますよ!
資金不足のまま起業した
脱サラの失敗例としてよくあるのが、資金不足による廃業です。
業種によってはタダで開業できるビジネスもありますが、数百万あっても開業できないものもあります。データが少し古いですが、日本政策金融公庫が公開した開業資金の平均額は941万円だそうです。
意外と見落とすのが、運転資金と生活費です。つまり、ビジネスのコストと経営者や家族の生活費ですね。
開業してすぐ経営が安定する…なんてことはまずありません。身銭を切ってしのがなければならない場面もあります。それを繰り返すうちに生活が成り立たなくなって、廃業してしまうケースが後を絶たないようです。
資金不足におちいらないためにも、選んでいる業種の開業資金の平均額は把握しておきましょう。
背水の陣で脱サラした
絶対ダメとは言い切れませんが、退路を断った状態で起業するのはおすすめしません。
「そうしないと甘えが出る」「そのくらいの覚悟じゃないと成功しない」と考える方も多いですが、ビジネスで成功するカギは徹底的なリスク回避です。
特に世間のニーズが目まぐるしく変わる昨今では、柔軟に対応できる余裕がないと長続きしません。
自分を追い込んだ状態での起業は、体調不良を招く原因にもなります。
経営が困難なほど体調不良になってしまうと、廃業だけでなく社会復帰が難しくなる可能性もあります。特に脱サラすると雇用保険から抜けてしまうので、失業手当や傷病手当も受け取れません。
体調不良で働けなくなった
脱サラすると、会社員だから負わなくてよい責任が押し寄せます。宣伝活動の方法や、新商品(サービス)の開発など、やらなければならないことは山積みです。
また会社員は労働時間の上限が決まっていましたが、経営者になれば無制限です。自分の納得するまで働けます。一方で体力的に無理でも働かなければいけない場面も出てきます。例えばコンビニでは、人手不足の時間をオーナーがカバーしています。
こうした状況が続くと、ケガや病気の原因になってしまいます。そのまま引退を余儀なくされる方も多いです。
避けるためにも常日頃から健康に気をつけ、コントロールできるようにしておきましょう。
これから脱サラする人がやるべきTodoリスト
会社を辞めて起業すれば誰でも「脱サラ」できます。そして個人事業主なら、「開業届」と呼ばれる書類を出せば起業できます。
実際はお店を開く場所を選んだり、必要な資格を取得したり…と、やることは山のようにあります。ケースバイケースで変わるので、ご自身の状況に合わせて選択してくださいね。
ここでは会社を辞める前にできる準備についてご紹介していきます。
これらの準備ができれば、スムーズに開業しやすくなります。
事業の計画を立てる
具体的にどんなビジネスをやりたいのか、細かく洗い出します。
どこに出店するか…
どんな商品(サービス)を販売するのか…
どんな人をターゲットにするのか…
などなど、細かいところまでしっかり書き出します。
「分かってないこともあるし、そこまで書けない!」と思うかもしれません。次に解説している「起業したい事業の研究」とあわせて進めることをおすすめします。
もしかすると、目指している業種より自分に向いているビジネスがあるかもしれません。
起業したい業種の研究
どのビジネスで起業するか決まっているなら、その業界の情報収集を必ず行ってください。
例えば市場規模やトレンド、今後の予測などがあります。そこからどのようなリスクが考えられるか・自分の強みをいかすにはどうしたらいいのか…といった計画が立てられます。
業種にこだわりがないなら、経営しやすい業種がおすすめです。
需要が確実にあって、コストが少ないビジネスですね。近年はウェブライティングやコンテンツ制作などのネットビジネスが人気です。
自宅で開業できて、在庫を抱えなくてよいビジネスは、リスクが少ないので廃業するリスクが下がります。
いずれにしても、起業する前に調査をしっかりやっておけば、スムーズに準備が進められます。
必要なスキル・知識を身につける
脱サラに必要なスキル・知識も、サラリーマンの間に習得しておくと安心です。
開業した後だと、事業運営に時間をとられてしまいます。経営に必要な会計や税金の知識は、開業する前に知っておけば焦ることはありません。
また、退職すると国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。
手続きを忘れていると、思わぬ出費が発生してしまうので忘れずに確認してくださいね。
業種によってはスキル・資格が必要です。
有給が使えるサラリーマンの間に習得しちゃいましょう!
自己資金の確保
開業資金、運転資金は気が付くと思いますが、ご自身の生活費も洗い出しておきましょう。
家賃や食費、保険料や税金などなど、意外と細かい出費が多いと思います。ご家族がいらっしゃるなら、ご家族の生活費も考えなければなりません。最初にご家族と話し合っておくことをおすすめします。
意外と用意するべき資金が大きくて、融資を考える方もいるかもしれません。
融資を受けるつもりでも、自己資金の準備は必要です。
融資の審査を受ける際、審査の担当者は「この人はきちんと返済できる人なのか」を調べます。自己資金をコツコツ貯めてきたという事実は、信用を得る根拠にもなって有利なんです。
さらに融資額にも関わってきます。基本的に自己資金が多いほど融資額が増えるシステムです。融資を考えていても、自己資金は多めに用意した方がメリットが大きいです。
退職の手続きの確認
退職の方法は、就業規則にまとめられています。退職時のトラブルを避けるためににも、確認しておきましょう。
民法上では、2週間前に退職を申し出ていれば退職できます。ですが退職するときのイメージダウンは避けたいところ。かつて働いていた会社が顧客になる可能性もありますからね…。最悪の場合「あいつは礼儀がなってない!」と言いふらされたら、集客に影響します。
悪い印象を残さないためにも、円満退職を目指しましょう。
まとめ
脱サラは、サラリーマンが会社を辞めて起業(独立)することです。資格が必要な事業でもない限り、誰でもできます。
ですが成功をつかむためには、いかにリスクを避けるかが重要になります。
そのためには入念な準備が必須条件。
起業後に苦しまないためにも、しっかりと準備を進めておきたいですね。