「金」の価格は年々上昇しています。何かがあったときに備えて、インゴットや金のジュエリーを所有している人もいるでしょう。
実際、多くの買取店では、「金」を主な収入源としています。金の買取ビジネスで、安定した収入を得たいと考えている方もいるかもしれません。
そこで今回は、金の買取店を開業するために必要な要素をまとめました。フランチャイズの買取店についても紹介します。この情報をぜひ参考にしてください。
金の買取店を開くために必要な準備とは?
近年、世界的に金の価値は上昇しています。世界経済に対する不安が背景にあるようです。景気が悪くなると、株式のような実態のない資産より、金のような価値のある金融商品が買われるようになります。
買取店としても、金は儲けになる商品のひとつです。
しかし、金の買取店を開くためには、いくつかの準備が必要です。勢いだけで開業してしまうと、赤字のまま廃業する可能性も高くなります。また、法律違反にもなりかねないポイントもあります。必ず準備してから、開業してくださいね。
必要な資格・届け出
金の買取店を開くために必要な資格はありませんが、許可申請が必要です。
許可を取得しなければ、罰則もあり得るので注意しましょう。
古物商許可
金の買取業を営むには、古物商の許可が必要です。警察署(公安委員会)に申請して、審査に通れば許可証を取得できます。許可証を持たずに事業を始めると無許可営業となり、罰金や懲役などを科される可能性があります。
すでに検挙された事例もあるため、必ず取得しましょう。
開業届
事業をおこすタイミングで、税務署に提出します。期限は開業後1か月以内です。
提出しなかった場合の罰則はありませんが、不便が生じる可能性があります。銀行からの信用も得られにくくなるので、提出ををおすすめします。
必要なスキル・経歴
古物商許可証さえ取得できれば、誰でも買取店オーナーになれます。
しかし必要なスキルが不足していると、長期的に営業を続けることはできません。
例えば、偽物を見抜くスキルが必要です。偽物を買い取ってしまうと、損失が生じます。何度も繰り返していると、卸業者やお客様からの信用を失い、取引が難しくなる可能性があります。
他にも、金の刻印の意味や相場なども常に把握しておく必要があります。
鑑定スキルだけでなく、接客スキルも求められます。
お客様が納得しなければ、取引は成立しません。最悪の場合、悪い口コミが広がり集客に苦労するかもしれません。逆に、お客様に「また来たい」と思ってもらえると、リピーターや新規顧客の獲得につながります。
残念ながら、未経験者が開業するにはハードルが高いビジネスです。十分な経験を積んでから、独立することをおすすめします。
フランチャイズに加盟すると、経営ノウハウや真贋判定のコツなどを教えてもらえるので、安心して開業できます。
資金はどのくらいかかる?
金の買取店のオーナーになるには、古物商許可証が必要です。取得するためには、2万円ほどの費用がかかります。
店舗を用意する場合、買取専門店なら10坪以下でも運営できるので、他の業種に比べて物件代が高額になりにくいです。自宅を営業所にすれば、より費用を抑えられます。
金の真贋判定に必要な道具は、はかりやルーペ、真贋判定器などがあります。これらをすべて用意すると、100万円以上の費用がかかる可能性があります。
開業前には、宣伝費用も必要です。SNSやオークションサイトを活用すれば、1万円以下で宣伝できます。折込チラシやフリーペーパーの広告欄を利用した場合、10万円ほどかかることもあります。
すべてを合わせると、開業資金としては600万~1000万円程度が必要となります。もちろん、工夫次第でより安く開業することもできます。
また、開業資金の他にも、数か月分の運転資金や生活費も必要です。余裕を持った資金計画を準備することをおすすめします。
フランチャイズに加盟した場合、開業資金としては1800万円ほどが必要といわれています。
金の買取店を開くまでの3STEP
金の買取店は、古物許可証さえ手に入れば、誰でも開業することができます。
しかし、きちんと手順を踏まずに開業してしまうと、思わぬトラブルが発生する可能性があります。たとえば、古物商許可証が手元に来る前にオープンしてしまうと、無許可営業で逮捕されるリスクがあります。
金の買取店を開業させるまでの流れを、3ステップでご紹介します。
STEP1:物件を確保する
まずは、営業拠点をどこにするか決める必要があります。古物商の許可申請には、営業所の住所が必要です。
古物商の許可申請で、「営業所」は重要なポイントのひとつです。営業所はどんな場所でもいい…といわけではありません。いくつかの条件を満たす必要があります。
例えば、独立性があること。バーチャルオフィスやコワーキングスペースのような、他社と空間を共有している場所では申請が通りません。
また、その物件の使用目的や契約者に問題ないかどうかも確認されます。
さらに、管理者を一名選出しなければなりません。申請者が兼任することもできますが、営業所に常勤できない人は認められません。通える範囲内で、物件を決める必要があります。
ネットショップだけで開業する場合でも、必ず営業所を用意しなければいけません。営業所は自宅でも問題ないので、必ず確保しておきましょう。
物件が、営業所として適切かどうか不安な場合は、警察署に問い合わせることをお勧めします。平面図などを用意して相談すると良いでしょう。
STEP2:古物商許可証の申請手続き
営業所を確保できたら、古物商許可証の申請手続きを行います。
申請書類は、営業所の住所を管轄する警察署から入手できます。警察署のホームページでも、ダウンロードできます。
申請書類には添付書類も必要です。基本的には「住民票」「身分証明書」「略歴書」「誓約書」の4つを用意します。ただし、管轄する警察署によって必要な書類が異なるため、事前に確認しておくと安心です。
書類をそろえたら、警察署の担当者にアポを入れて手続きを行います。
手続き中に、営業について質問されることもあります。しっかり答えられるように、準備しておきましょう。
STEP3:開業準備
古物商許可の審査には、通常40~60営業日ほどかかります。
審査中に、営業所を直接確認しに来る可能性もあります。事前に連絡があるので、あせらずに対応してください。
許可が下りたら、警察署で古物商許可証を受け取ります。
その後、古物商プレートと古物台帳を用意します。古物商プレートは、お客様に見える場所に提示する必要があります。基準を満たしていれば、自作でも問題ありません。
古物台帳は、保存期間が3年間と定められています。しかし、200万円を超える現金取引をした場合は、保存期間が7年に延びます。金の買取店では、買取額も高額になりやすいです。しっかりと管理できるものを用意しましょう。
フランチャイズに加盟するなら…
フランチャイズに加盟する場合、オープンまでの流れが少し異なります。
①契約する本部を選ぶ
本部を探すなら「アントレ」や「フランチャイズの窓口」のような募集サイトが、効率的でおすすめです。
気になる本部があれば、資料請求をして詳しい内容を確認します。説明会に参加すれば、担当者と話して直接疑問を解決できます。
②契約を結ぶ
加盟したい本部が見つかったら、契約を申し込みます。本部で審査を行い、通過できれば契約に進みます。
契約前には、契約内容をよく読んで理解してからサインをしてください。フランチャイズは一度契約を結ぶと、簡単に白紙には戻せません。よく読んで、納得してからサインしてくださいね。
ここからは、本部のサポートを受けながら準備を進めていきます。本部によっては、順番が多少変わる可能性があります。
③物件を決める
本部と契約を結んだら、オープンする場所を決めます。本部が物件を紹介してくれる場合が多く、基本的には立地調査を行っています。立地条件のよい物件は集客しやすく、高利益が期待できます。
④開業準備
手に入れた物件を、オープンできるように工事します。この間に、古物商許可の取得や開業前研修を行います。
古物商許可の申請は加盟店オーナーが行いますが、本部がバックアップしてくれるので安心です。開業前研修では、査定に必要な知識や接客技術など、開業後に必須のスキルを身に着けられます。
⑤オープン!
開業するとき、フランチャイズに加盟した方がいい?
金の買取店を開業するだけなら、誰でも可能です。しかし、経営を継続するためには、スキルや経験が必要です。実績がない場合、なかなかお客様が来ない可能性もあります。
そのため、フランチャイズの加盟を検討している方も多いのではないでしょうか。
フランチャイズはさまざまなメリットがある一方、トラブルも多いビジネスモデルです。メリットとデメリットをよく確認して、慎重に判断してくださいね。
自力で開業する場合のメリット・デメリット
自力での開業は、フランチャイズと比べて圧倒的に自由度が高いです。自分の好きな場所でオープンや、内装の設計にこだわることもできます。また、営業時間や休日も自分で調節できるので、自分の時間を確保しやすいです。
さらに、ロイヤリティやシステム使用料といった費用も発生しません。月々のランニングコストも工夫次第で抑えられます。
一方で、自力での開業は難易度が高いというデメリットがあります。知名度がない状態でスタートするため、集客に苦労する可能性が高くなります。査定スキルがない場合、損をしたり信用を失うリスクがあります。
経験や実績を積み上げることが求められ、安定するまでにはかなりの時間がかかることを覚悟しておく必要があります。
フランチャイズに加盟するメリット・デメリット
フランチャイズの加盟には、本部からの経営ノウハウや査定サポートが受けられるメリットがあります。実績のある企業から、直接バックアップしてもらえるので、失敗する確率は下がります。
また、本部のブランド名を使って開業することで、集客面でも有利になります。
一方でデメリットとしては、自由度の低さと月々のランニングコストの高さです。
本部からのサポートを受ける以上、基本的には本部の指示に従わなければなりません。
ロイヤリティや広告宣伝費などの費用も請求されるため、売上が好調でも手元に残るお金は少なくなりがちです。
失敗しないフランチャイズの選び方
せっかくフランチャイズに加盟したのに、売上が上がらなければ悲惨ですよね。さらにフランチャイズ契約を解約するためには、基本的に違約金が発生します。
フランチャイズで失敗しないためには、本部選びが重要です。
そこで、本部選びの際に注目するべきポイントをまとめました。
知名度のある本部を選ぶ
特に買取業界では、知名度の有無は重要なポイントです。
フランチャイズは、本部のネームバリューが大きく影響するため、必ず確認してください。
本部のブランドイメージも、大切なポイントです。
たとえ「サポート体制に自信があります!」とアピールしていても、ブランドイメージが悪い本部はおすすめできません。世間からの信用度が低いと、来店数はなかなか増えません。
本部が信用できる企業かどうかを、確認しておくことをおすすめします。
サポート内容は具体的に確認する
フランチャイズ加盟店に提供されるサポート内容は、本部によって異なります。
同じようなサポート名でも細かい部分で違うため、加盟前には必ず確認しておきましょう。具体的なサポート内容を知るには、資料請求や説明会へ参加することをおすすめします。
ただし、ご自身のスキルや考え方に合わせて選択することが重要です。
フランチャイズは、初めて経営する人でも問題ないように、サポート体制を整えています。
しかし、同じサポートを受けているのにもかかわらず、赤字経営に陥る加盟店やオーナーも存在します。また、本部との方針の不一致で辞めていった加盟店オーナーが多いことも事実です。
「思っていたことと違った!」といった失敗を避けるためにも、加盟前に入念にチェックしておきましょう!
まとめ
金の買取業界は、今後も活発になることが予想されます。これは金を資産として所有したいと考える人が増えるため、高額で買い取れるからです。
金の買取店は、開業すること自体は簡単です。古物商許可証さえ取得すれば、誰でも開業できます。
しかしオーナーとして長く続けていくためには、査定スキルと実績が必要です。
フランチャイズに加盟することで、実績のある企業が経営をサポートしてくれます。また、査定スキルも磨くことができるので、業界の経験が浅い方でも失敗しにくいシステムになっています。
ただし、自由度が低く、月々のランニングコストも高額になりがちです。加盟後のトラブルも多いため、本部選びは慎重に行う必要があります。
後悔しないためにも、情報収集は徹底的に行って、よく吟味してくださいね。