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知らないと後悔する!よくあるフランチャイズのトラブル5選!

フランチャイズには、経営や業界の経験がなくても失敗しにくいメリットがあります。
一方でトラブルも多く、訴訟にまで発展するケースもあります。このような事例はメディアにも取り上げられているので、「フランチャイズは危険なビジネス」と考えている方も多いかもしれません。

フランチャイズのメリットを最大限に生かすためには、事前の対策が欠かせません。そこで今回、よくあるトラブル例と、それに対する解決策をご紹介します。

フランチャイズでよくあるトラブル5つ

公園のベンチで頭を抱えるサラリーマン
フランチャイズのトラブルは、多岐にわたります。加盟前後の段階での問題が一般的ですが、契約期間中や契約更新、さらには終了後でも裁判に発展する可能性があります。

ここではよくあるとトラブル事例を5つご紹介します。
判例を紹介しているので、参考にしてください。

加盟したけど、開業できないトラブル

あり得ないと思うかもしれませんが、「開業できない」というのは意外と多いトラブルなんです。
フランチャイズに加盟しても、すぐ開業できるわけではありません。このことが原因でトラブルに発展するケースが後を絶たないようです。

加盟するタイミングによっては、希望にあう店舗物件が見つからず、準備が進まなくなることがあります。いつまでたっても開業できない場合、契約している意味が分からなくなってしまいますよね。
しびれを切らした加盟店が解約を申し出ると、本部から違約金を請求されてトラブルに発展することがあります。フランチャイズでは、契約期間中の解約は基本的に違約金が発生します。
本部の立場からすれば契約に基づいて請求しているだけですが、納得できませんよね…。

加盟金の返還を巡ったトラブルも発生しています。
一般的には、加盟金は返金されないことが契約で定められています。しかし、本部側に原因がある解約や、サポートが開始される前の解約などの場合、返金の可能性があります。
加盟金の返還を本部に求めることはハードルが高く、裁判に発展する場合もあります。

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売上予測に関するトラブル

売上予測に関するトラブルで多いのは、加盟店が提示された売上予測ほど稼げなかったケースです。

本部は通常、加盟を希望する人に売上予測を提示します。もし提示された数字が現実から大きくかけ離れていると、本部に不信感を抱いてしまいますよね。

売上予測はあくまでも予測です。実際の売上が、売上予測に達しなくても違法ではありません。
ただし、売上予測が不正確だったり、勘違いさせるような表現をしていた場合、本部は情報提供義務違反に触れる可能性があります。
情報提供義務とは、加盟を検討している人に正確な情報を提供する義務のことです。実際に違反して、損害賠償請求が認められた判例もあるようです。

さらに売上予測に含まれていなかった費用を請求され、トラブルになるケースも多いです。
本部の担当者が「これくらいは分かるだろう」と見過ごしたり、わざと事実を隠していたり、と理由はさまざまです。加盟前に十分な説明がなかった場合は、本部側の落ち度として認められる可能性があります。

店舗運営の方針が合わない

フランチャイズでは、加盟店側にさまざまな制限をかけられま。
ブランドイメージを守り売上を保証するためで、ある程度の制限は仕方ないと認められています。

それでも加盟店側の自由度に納得できず、トラブルになるケースが後を絶ちません。コンビニの営業時間に関するトラブルを、ニュースで見た方も多いのではないでしょうか。

他にも、商圏保護義務を巡ったトラブルがあります。商圏保護とは、本部が加盟店の近くにチェーン店を出さないことを保証するものです。同じチェーン店同士でお客様の取り合いを防いで、売上を守ることができます。
本部によっては、あえてチェーン店を近くに集中させる方針を採っている場合があります。このような場合、トラブルが発生しても解決できずに泣き寝入りとなる可能性が高いです。

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本部のサポート体制に問題があった

よくある問題のひとつが、フランチャイズ担当者が業界未経験だったり、マネジメント能力が低かったりするため、適切なアドバイスを得られないケースです。

買取フランチャイズでの例を挙げると、ある加盟店が本部に集客のアドバイスを求めたところ「チラシを配りなさい」というだけの回答しか得られなかったケースがありました。買取業では、チラシ配布も有力な宣伝方法の一つですが、それだけで集客が増えるわけではありません。結局その加盟店は、赤字が原因で撤退することになりました。
さらに深刻な場合、「SV(スーパーバイザー)が契約通りに派遣されない」「本部から仕入れ数量を指定されている」といった問題まであります。

事例:本部のサポートに問題があったと認められたケース

Aさんは経営に関する知識・経験はなかったものの、飲食店を開業する夢があり、B社とフランチャイズ契約を結びました。

しかしオープンを迎えた当日、本部からいきなり割引券を配るよう指示されたそうです。割引券には使用期間や個数に関する制限がなく、Aさんのお店は悪影響を受けました。さらに、店舗に問題も見つかって相談しても、本部からはほとんど無視され、店舗の設備から発火することもありました。
AさんはB社の契約後の対応に不信感を抱き、契約解除を申し出て損害賠償を求めることにしました。

この裁判では争点がいくつかありましたが、中でも「営業指導義務違反の有無」が重要でした。要するに、加盟店がきちんと運営できるように、指導・援助する義務です。
裁判所は割引券の配布について、B社の行為がAさんの店の収益に対して無責任であると判断しました。物件トラブルへのB社の対応も含め、営業指導義務を果たしたとはいえないとしています。

平成16年(ワ)第1744号 損害賠償請求事件

契約期間が終了しているのに、トラブルになってしまった!

契約が終了した後も、加盟店オーナーには「競業避止義務」があります。一定の期間中に、同じ、または似た業種での営業をしてはならない…というものです。フランチャイズでは、場所的な制限が加わる場合があります。

この「一定期間」と「似た業種」の範囲は、本部ごとに違います。加盟店と本部との間で解釈にズレがあると、トラブルが発生しやすくなります。
競業避止義務に違反した元加盟店は、基本的に営業の差し止めか損害賠償、もしくはその両方を請求されます。

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事例:元加盟店オーナーの競業避止義務違反

清掃業のフランチャイズ本部との契約を終了したAさんは、自分の兄を代表者として清掃業のお店をオープンしました。店名は変えましたが、住所、電話番号などは変更していません。
この事実が本部の目に留まり、営業差し止めと損害賠償を求める訴訟に発展しました。

本部との契約書には、契約終了から2年間、類似したビジネスを営んだり、第三者に営ませることを禁止する条項がありました。そのため裁判所は、Aさんは競業避止義務違反をしていると判断しました。一方で、競業避止義務の範囲について、本部と異なる解釈をしていた可能性も指摘しています。

この裁判では、競業避止義務違反に対する損害賠償請求が全額認められました。

平成29年(ワ)第33490号 営業差止等請求事件

トラブルになってしまった場合はどうしたらいい?

資料の上に立てられたSUPPORTのメモ紙
せっかくサポートを受けるのですから、トラブルが起こらないことが一番です。
しかし、万が一トラブルが発生してしまったら、どう対処したらよいのでしょうか。

本部とトラブルになってしまったとき、相談できる場所をご紹介します。

  • フランチャイズ相談センター
  • 弁護士
  • 公正取引委員会

気軽に利用しづらいものもありますが、状況によっては強力な味方となることでしょう!

フランチャイズ相談センター

日本フランチャイズチェーン協会が設置していて、会員以外の方でも無料で相談できます。
専門の相談員が、フランチャイズに関する悩みにアドバイスをしてくれます。加盟についての事前相談にも対応しているそうです。

一方で、相談員は中立的な立場をとっていて、望むような回答を得られない可能性があります。また、訴訟に発展している場合には、対応してもらえません。
「争うほどではないけれど、相談にのってほしい」という方におすすめです。

弁護士

依頼者の抱える問題を、法律と照らし合わせて解決に導くのが弁護士です。
無料相談を受け付けている弁護士も多いので、気軽に利用できます。

弁護士には得意分野があり、フランチャイズに特化した事務所もあります。相談するなら、フランチャイズのトラブルに精通した弁護士を選ぶことをおすすめします。

有料になってしまいますが、「弁護士ドットコム」を利用して相談する方法もあります。このサービスでは全国の弁護士からアドバイスをもらうことができるので、近くに弁護士事務所がない方でも安心です。
さらに、他のトラブルに巻き込まれた方の相談や、それに対する回答を閲覧することもできます。

公正取引委員会

公正取引委員会は、独占禁止法を運用するために設置された機関です。
フランチャイズに関する独占禁止法についても、相談を受け付けています。

本部がその立場を利用して、加盟店に不当な不利益を与えている場合、独占禁止法に触れる可能性があります。例えば、取引先の理不尽な制限、仕入れ数量の強制などがあります。

公正取引委員会が公開しているマニュアルも、具体例が多く参考になります。

トラブルを避けるために注意するべきポイントは?

青空を背景にOKサインを出すサラリーマン
フランチャイズは、トラブルも多いビジネスです。
なるべく巻き込まれないためにも、事前に対策を講じておくことをおすすめします。

以下に、ご自身でできる対策について、まとめました。
ぜひ、参考にしてください。

サポート内容や方針を確かめる

本部から提供されるサポート内容は、具体的に把握しておきましょう。
同じフランチャイズ制度でも、本部によって違いがあります。サポート内容を把握することは、本部の方針を知る手掛かりにもなり、自身のビジネスに適合するかどうかを判断しやすくなります。

さらに本部のサポートが、実際に効果をもたらしているのかを確認することも忘れてはなりません。例えば、本部の活動やアドバイスが集客につながっているのか、他の加盟店オーナーが経営に成功しているのか…などです。
サポート内容が魅力的でも本部にそれを提供できる体制がなければ、効果は実感できないかもしれません。

「期待してたことと違う」とならないためにも、事前にしっかりチェックしておくことをおすすめします。

契約内容は正確に把握する

契約内容は、注意深く読んでからサインしましょう。
フランチャイズの加盟店は、独立した事業者として扱われます。加盟店オーナーは自身の責任で投資し、事業を行います。サインをしてしまうと、すべての内容に同意したとみなされ、後からの言い訳が通用しません。

フランチャイズに関連するトラブルの多くは、契約内容を理解していなかったことで発生しています。契約書を理解することでリスクも把握できるので、本部との交渉や予防策を備えたりできます。

契約内容が難解であれば、専門家に相談することもおすすめです。本部の担当者に確認すれば、より正確な情報を得ることができます。

情報は多角的に集める

情報収集は複数の媒体を活用することで、サポート内容をより理解できるようになります。
ロイヤリティや加盟金の相場を知るためにも、複数の企業に資料を請求することをおすすめします。

本部の概要をチェックすることで、信頼できる企業なのかどうかを判断できます。
例えば本部と加盟店の法的トラブルは、インターネットで検索することができます。もしトラブルが多い本部だったら、加盟店へのサポートが整っていない可能性があります。最悪の場合、悪徳なフランチャイズ本部の可能性があります。
特に業種によっては加盟前に必ず説明されるため、しっかり確認しておきましょう。

売上予測についても本部の情報を鵜呑みにせず、自分で調べてみることをおすすめします。
これも、業種によって事前に説明される可能性があります。そのデータを元に、自分でシミュレーションしてみるのもアリです。

まとめ

フランチャイズでは、さまざまなタイミングでトラブルが起こる可能性があります。契約が終わってからも、数年間は注意しなければなりません。
トラブルが発生したら、悪化する前に適切に対処しましょう。無料で相談できる機関もあります。

契約内容とサポート内容を確認することで、トラブルを避けやすくなります。
裁判に発展するトラブルの多くは、契約書の解釈がズレていることが原因とされています。

「失敗した!」と後悔しないためにも、準備は十分に整えておきましょう!トラブル予防のために、契約内容やサポート内容を十分理解し、必要な措置を講じておくことが重要です。

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