デメリット

フランチャイズで潰し合いになるのはなぜ?知ってほしいドミナント戦略について

閉店のお知らせの書類を見てエプロンを握りしめる男性

よく聞くフランチャイズの怖い話、「本部によるオーナー潰し」
たとえば、フランチャイズ店に試しに営業させて、好調そうだったら直営店を出して奪ってしまおう…という話があります。ここまで露骨な話は少ないものの、近くに同じチェーン店ができたせいで売上が落ち込み、トラブルに発展したケースは多くあります。

すべての本部が、気に入らない加盟店を潰そうとしているとは限りません。実は、特定の地域に集中して出店する「ドミナント戦略」というものがあって、これが裏目に出た可能性が考えられます。

ここでは、そんなドミナント戦略について詳しく解説します。
「そんな戦略をとっている本部と契約したくない!」という方向けに、対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

フランチャイズにおけるドミナント戦略とは?

データ書類とキーボードなど
ドミナント戦略とは、ひとつの地域に集中してお店を出す戦略のことです。他社の入り込む余地がなくなるため、その地域の利益を独占できます。

素早い展開を得意とするフランチャイズとの相性も良く、コンビニやレストランなどを中心に採用されています。特にコンビニ業界では積極的に取り入れていて、数十メートル先に同じ店がある…なんて話もよく聞きます。
一方で、同じチェーン店同士で潰し合いが起こるリスクがあります。その結果、共倒れになってしまい、悲惨な結果になってしまうこともあります。

後悔しないためにも、自分の計画やスキルに合っているかどうか、メリットとデメリットを見比べて判断してください。

加盟店を潰し合わせるのが目的ではない

ドミナント戦略のメリット・デメリットを紹介する前に、コレだけは言わせてください。
全てのフランチャイズ本部が、気に入らない加盟店を潰そうとするわけではありません。

もちろん、中には加盟店から搾取することしか考えていない本部も実在します。ですが基本的には、本部は加盟店の成功をサポートするはずです。
フランチャイズビジネスでは、本部の収入源は主に加盟店からのロイヤリティです。加盟店の数が減ると、それだけ収入が減ってしまいます。売上歩合方式をとっている本部では、加盟店が売上を伸ばさないと利益が増えません。むやみに加盟店を潰すのは、本部にとっても損失の大きいことなんです。

中には、利益を優先する悪質な本部も存在します。
そういった悪徳本部の被害を避けるためには、契約しないことが重要です。万が一契約してしまった場合は、弁護士や日本フランチャイズチェーン協会など、専門家に相談することをおすすめします。

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ドミナント戦略のメリット

コインの上に立つ三人
ドミナント戦略はリスクの大きい戦略で、失敗するとチェーン店同士で潰し合いに発展する可能性があります。
SNSや漫画でなどで風刺されているのを見た方も、多いのではないでしょうか。

それを差し引いても、以下のようなメリットがあります。

集客面で有利な状況を作りだせる

ドミナント戦略の「ドミナント」は、「支配的な(dominant)」という英単語に由来します。
特定の地域を自社ブランドで独占して、他社の入り込む余地をなくしてしまおうという戦略です。文字通り、その地域を支配するという意味合いがあります。

周辺に同業他社が存在しないので、ニーズがあれば自然と顧客が店舗に足を運びます。また、同じチェーン店同士であるため、利用しやすさも顧客にとって魅力的です。
たとえ同業他社が独占地域に出店しても、集客面で有利な状況に立つことができます。

さらに、同じブランドを何度も目にすることで、顧客が店舗を覚えやすいというメリットもあります。
全国的な知名度が低くても、特定の地域に集中的に展開することで、地域内での認知度を高めることができます。このため、広告宣伝の負担も軽減されます。

運送や指導などのコストが削減できる

店舗同士の距離が離れていると、トラックのガソリン代や人件費などの経費が増加してしまいます。商品の頻繁な仕入れが必要なビジネスでは、経費が高騰するリスクがあります。同じエリアに出店すれば、商品の配送先がまとまり、運送費用を節約できます。

特に食品を扱うビジネスの場合、加工工場の近くに出店することで、新鮮な商品をリーズナブルな価格で提供できます。

また、本部が店舗運営を指導する際に、移動距離が短縮されるため、そのコストも削減できます。この結果、1店舗あたりの指導時間を増やすことが可能となります。

最適なマーケティングをしやすい

ドミナント戦略では特定の地域に集中して出店するため、客層やニーズの調査もその地域に集中します。
その結果、そのエリアの人口や年齢層、ライフスタイルなどの重要なデータを詳細に把握することができます。これにより、適切な事業計画を立案し、安定した収益を得ることができます。

さらに、その地域の特性に適した宣伝活動も展開できるため、効果的な宣伝戦略を立てることが可能です。限られた地域での広告展開となるため、広告宣伝費を抑えつつも効果を最大化することができます。

ドミナント戦略のデメリット

共食いするジャガイモ
繰り返しになりますが、ドミナント戦略は高いリスクを伴うビジネス戦略です。
特に、「カニバリゼーション」と呼ばれる現象が生じると、多数の加盟店が閉店する可能性があります。閉店に至らなくても、加盟店の利益が急激に減少し、事業が立ち行かなくなるリスクがあります。

このような事態を避けるためにも、フランチャイズ加盟を検討する際にはデメリットを注意深く把握しておくことが重要です。

潰し合いが起こる

ドミナント戦略には、加盟店同士がお客様を奪い合うリスクが潜んでいます。この状態は「カニバリゼーション」または「共食い」と呼ばれ、文字通り同じチェーン店同士が競い合ってしまいます。

加盟店の閉店は本部にとっても大きな打撃になるため、出店計画はこのカニバリゼーションを避けるように立てられます。しかし、その実現は容易ではなく、本部と加盟店の間でトラブルが生じることも少なくありません。

また、意図的にカニバリゼーションを起こしている本部も存在します。この状況が発生すると、加盟店は売上を確保するために独自の差別化を図ることがあります。オーナーの自主的な行動によって、結果としてチェーン全体の品質向上や利益の増大が期待されます。

ドミナント戦略を採用しているチェーンでは、他のチェーン店との生存競争が激しくなる傾向があります。このような環境で生き残るためには、オーナー自身の工夫や努力が不可欠です。

周辺環境の変化に影響を受けやすい

ドミナント戦略には、地域の環境変化に弱いというデメリットが存在します。
例えば、出店している地域で災害が発生すると、多数の店舗が被害を受けます。その影響は被害を受けなかった店舗にも及び、本部の経営悪化や物流の混乱などが起こる可能性があります。

さらに、大型ショッピングモールの竣工や人口の減少などの変化にも注意が必要です。ドミナント戦略は、ある程度の消費者数が見込める地域での展開が前提となります。地域の需要が減少すると、利益が急減し、カニバリゼーションが発生する可能性が高まります。

たとえ自身の店舗への影響が少なくても、本部が大きなダメージを受けることで何らかの不都合が生じる可能性があります。

不祥事が起こったときの影響が大きくなる

これはどのフランチャイズ本部でも起こり得ることですが、他の店舗での不祥事が原因で売上が減少する可能性があります。たとえば、ひとつの店舗でのバイトテロが全国のチェーン店に影響を及ぼすニュースを目にした方も多いのではないでしょうか。

ドミナント戦略を採用している場合、そのような影響をより強く受けるリスクがあります。
もしも近隣の店舗で不祥事が起こった場合、あらぬ疑いをかけられたり、巻き添えを受ける可能性もあります。

ドミナント戦略を加盟前に見分ける方法

チェックリストと虫眼鏡
ドミナント戦略について解説しました。同じチェーン店同士で顧客を奪い合う現象は、本部のオーナー潰しとは一線を画します。
それでも、お店を展開する際には集客が安定している場所で営業したいと考える方も多いでしょう。他店との競争を避けたいという意向を持つ方もいるはずです。

そのような場合には、「テリトリー権」を認めている本部を選びましょう。
テリトリー権は、加盟店が営業地域を確保する権利を指します。ドミナント戦略を採用する本部の契約書は、通常このテリトリー権が認められていない傾向にあります。
また、「ロケーション制」や「オープンテリトリー制」といった方針を採用している本部も、ドミナント戦略を展開している可能性があります。
加盟を検討する前に、これらの条件を確認することが重要です。

テリトリー権に関する確認方法をご紹介します。

担当者に問い合わせる

最も手っ取り早い方法は、本部の担当者に直接問い合わせることです。これは個人的にもおすすめです。

テリトリー権が実際にどのように認められているかは、各本部によって異なります。テリトリー権を認めつつも、売上次第で追加出店が可能な本部もあります。逆に、テリトリー権を否定しつつも、具体的な出店範囲を定めている本部も存在します。
担当者に問い合わせることで、詳細な情報を分かりやすく教えてもらえます。

ただし、「配慮する」という回答があっても、実際に近隣にチェーン店が出店されるケースが多数あるようです。そのような場合、具体的にどのような配慮がされるのかを確認することが重要です。

一部の事業では、法定開示書面で説明することが義務付けられています。
確認すべきタイミングは必ずあるので、加盟を検討する前にこの点をチェックしておきましょう。

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契約書を確認する

契約書を確認することで、正確な内容を把握できます。担当者の説明に納得できなかった場合は、契約書で内容を確認しましょう。説明に納得していたとしても、契約書を確認することをおすすめします。

フランチャイズに加盟すると、契約書の内容を順守する必要があります。本部も同様で、契約書によってテリトリー権が保障されている場合、本部は近隣に新たな店舗を出店することが制限されます。万が一出店が行われた場合、契約違反として損害賠償を求めることができる可能性があります。

ただし、実際の保障内容は本部ごとに異なるため、近隣に出店されたからといって必ずしも契約違反になるわけではありません。
加盟後に後悔しないためにも、契約書を十分に理解し、内容を把握した上でサインしましょう。

万が一近くにお店を出されたら…

事前に「ドミナント戦略を採用しない」と決定していたにもかかわらず、近隣に同じチェーン店が開店した場合、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に抵触する可能性があります。
ドミナント戦略を実施していたとしても、何らかの支援を提供することが契約で定められていれば、無視することはできません。まずはそのような契約内容を確認してください。
契約書に上記のような取り決めが記載されていた場合、契約違反として損害賠償を請求できるかもしれません。

テリトリー権が認められていないからといって、損害賠償を請求できないとは限りません。
フランチャイズは、本部と加盟店が協力し合って成立するビジネスです。近隣への出店が加盟店の売上を著しく減少させた場合、本部の対応によっては信義則に反すると判断される可能性があります。
実際、債務不履行や不法行為の是正を求める判例も存在します。請求が認められるためには相当な努力が必要ですが、「契約書に記載がないから諦めるしかない」というのは早まった考えかもしれません。

加盟前にテリトリー権が保証されていても、本部の方針変更でその保証がなくなる可能性もあります。本部から通知されると予想されますが、契約更新時には、変更点を確認することをお勧めします。

まとめ

「ドミナント戦略」について紹介しました。
フランチャイズの加盟店同士が潰し合う話はよく聞きますが、ドミナント戦略を利用して成功を収めた本部も少なくありません。
リスクやデメリットに気を付けつつも、メリットを享受できる戦略と言えます。

フランチャイズにおいて、本部の立場は強いものです。競合を避けたいと思うならば、ドミナント戦略を採用している本部との契約は避けるべきです。

また、ドミナント戦略以外にも、本部からの不合理な要求が原因で加盟店が閉店するケースもあります。
これが悪質な場合、独占禁止法や詐欺罪に該当する可能性もあります。トラブルを回避するためにも、加盟する本部は慎重に選ぶことが重要です。

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