中古品のせどりや買取業など、中古品ビジネスを始めるなら「古物商許可」が必要です。
無視して始めると、罰金や懲役刑を科せられるかもしれません。知っている方も多いはず。
でも、古物商の許可申請と開業届の提出ってどっちが先なの?
許可証が届いたら、すぐにオープンしないとダメなの?
今回は、そのような疑問にお答えします!
開業までの流れも一緒に解説しているので、参考にしてください。
古物商になれたらすぐオープン?いつ申請すればいいの?
古物商許可証を取得するのは、ビジネスを始める前です。脱サラしてお店を構える場合でも、お小遣い稼ぎで副業する場合でも、同じです。
ですが、どのタイミングまでに申請すればいいのかまでは、なかなか分かりませんよね。
例えば、物件を手に入れる前なのか、仕入れをする直前なのか…。
インターネットで調べると、「古物商許可証を取ったらすぐにオープンしなければならない」と書き込みを目にすることもあります。
「じゃあ、お店の内装まで整えてから申請しないといけないの…?」と、不安になってしまいますよね。
古物営業法には、そのような規定はありませんので安心してください。
とはいえ、条件次第ではせっかく手に入れた古物商が取り消しになる可能性もあります。
古物商許可は開業する前に取得するべし!
古物商許可証は、中古品(新古品)を使ったビジネスを行う前に取得しなければなりません。
買取、転売、レンタル…あらゆるビジネスで要求されます。
無許可で営業していると、古物営業法に違反してしまいます。罰則もあって、3年以下の懲役か100万円以下の罰金、あるいはその両方です。
しかも刑を終えてから5年間は古物商許可を取得できません。「もう懲りたから許可を取ろう」と思っても、簡単に取得できなくなってしまうんです。
古物商許可は、ビジネスを始める前に取得しましょう!
開業届は、ビジネスを始めてから1か月以内に提出すれば大丈夫です。
万が一1か月を過ぎていても、特に罰則はありません。少し損はしますが…。
許可がおりたら、すぐ開業しないと取り消されるの?
インターネットで調べていると、「古物商の許可が取れたらすぐ開業しないといけない」という情報を見かけます。
古物商許可証には期限がある、と思っている方もいるようです。
確かに一定期間営業活動をしていない古物商は、許可を取り消されます。肩書だけの古物商が増えてしまうと、警察が困ってしまうからです。
盗難事件が発生したとき、警察署は古物商たちに捜査協力を頼みます。「こんな物が盗まれたけど、お店に持ち込まれなかった?」と聞き込むんですね。そのとき営業していない古物商ばかりだったら、捜査が進みません。
古物商が許可制なのは、盗難事件の予防や被害の迅速な回復が目的です。古物商が捜査の障害になったら、本末転倒ですよね。
とはいえ、「すぐに開業しなければいけない」というのは間違いです。古物商許可証には期限がありません。
取り消される条件に当てはまらなければ、許可証は生涯有効です。
取得してから6か月間は間違いなくセーフ
一定期間営業活動をしていない古物商は、許可を取り消されます。
その期間は6か月と、古物営業法に記載されています。具体的には以下の通り。
第六条 公安委員会は、第三条の規定による許可を受けた者について、次に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その許可を取り消すことができる。
一 偽りその他不正の手段により許可を受けたこと。
二 第四条各号(第十号を除く。)に掲げる者のいずれかに該当していること。
三 許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと。
(以下略)
実際は6か月以上休業していてもバレないケースもあるそうですが、定期的に警察官が確認に来る地域もあるようです。
「営業活動」はホームページの更新だけでも、十分認められます。
何らかのトラブルで開業が遅れても、営業活動をしっかりやっておけば安全です。
ただ、開業予定日が決まっている方は注意が必要です。開業予定日が6か月以上先だと、上記の理由から断られてしまうケースもあるようです。
その場合は日を改めて申し込めば解決できます。
古物ビジネスを始める前にやるべきコト4つ
古物商許可証の申請手続きに入る前に、準備しなければならないことがあります。
そのためにも、洗い出しておくべきポイントがいくつかあるので、まとめてご紹介します。
- どの古物を取り扱うのか?
- 欠格事由に該当していないか
- 自分のビジネスを言葉にまとめておく
- 営業する場所を決める
どれかひとつでも欠けていると、準備中につまずいてしまいます。
スムーズに準備するためにも、チェックしておくことをおすすめします。
どの古物を取り扱うのか?
古物商の許可を取ったからと言って、すべての中古品が取り扱えるわけではありません。
古物には法律で定められた品目があって、申請する際にその中から該当するものを選ぶ必要があります。それ以外の品目は基本的に取り扱いません。
後々まで影響するポイントです。最低でも、メインで取り扱う商品は決めておきましょう。
実際は、選んでいない品目の取引も可能です。後日書類を出せば問題ありませんが、忘れていると罰金刑が科せられる可能性があります。
開業後に追加で取り扱いたい物が出てきたら、書類を提出するだけで追加できます。ある程度はリカバリーできるので、深く悩みすぎないようにしてくださいね。
一方で、メインで取り扱う品目を変更する場合は、1500円払って書換申請を行います。
気軽に変更できる部分とそうでない部分とあるため、しっかり計画を立てておくと安心です。
欠格事由に該当していないか
古物営業法は、盗品の売買を防止したり、被害回復を素早く行うために作られました。
盗んだ物の行方をすぐつかめるように、許可制にしているんですね。
過去に犯罪を犯していたり、暴力団関係者だったりすると、許可が下りません。
この他にも、破産手続きを受けて復権していない人や、住居の定まらない人も古物商にはなれません。
古物営業法で定められた「欠格事由」に該当しているからです。
欠格事由は全部で11個あります。どれかひとつでも当てはまれば、古物商の許可は取れません。
ですが基本的に解決する方法はあるので、専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。
営業する場所を決める
ビジネスの本拠地をどこにするか、決めておきましょう。
古物商の許可申請には、営業所が必要です。インターネット上だけで活動する場合は、事務作業を行う場所を営業所として申請します。
申請手続きは、営業所の住所を管轄する警察署で行います。他の警察署では受け付けてもらえません。
「どこで開業するか」が決まらないと、申請手続きすらできないんです。
条件さえ整っていれば自宅でも申請できますし、許可証を取り直さなくても移転できます。
無理に物件を用意しなくてもいいので、営業所をどこにするかだけは決めておきましょう。
営業所には、必ず一人の管理者を設置しなければなりません。管理者は申請する人が兼任できます。
自分以外の人にお願いする場合は、その人の住民票などが必要になります。すぐに書類をそろえられるように、あらかじめお願いしておくと負担が軽くなりますよ。
古物商を取って開業するまでの4STEP
決めるべきこと・やるべきことが決まったら、次は行動に移ります。
古物商の許可申請から、開業届の提出までの流れをまとめました。おおよその日数も説明していますので、参考にしてください。
古物商の許可申請には、開業予定日の3か月前から動く方が多いようです。
早すぎると「後で来てね」と言われる可能性もありますし、遅すぎると営業できません。スムーズに開業するためにも、準備はしっかり済ませておきましょう!
STEP1:申請書類を用意する
古物商の許可を申請するために、必要な書類を用意します。
必要な書類は大きく分けて2つあって、入手方法も異なります。
すべてそろうまで、7日間ほどかかります。場合によっては2週間ほどかかることがあります。
申請書類
いわゆる申込書です。警察署のホームページからダウンロードできますが、警察署で直接受け取ることもできます。営業所の申請手続きをする警察署から受け取ってください。
直接受け取ると、必要な添付書類や書き方などを確認できます。
個人事業主として開業する場合、以下の3枚を提出するケースが多いようです。
- 古物商許可証の申請書
- 営業所の届け出
- URLの届け出(インターネットでの取引をする場合)
日付欄は空欄にしておいて、警察署に提出するタイミングで書き込むと、ミスが少ないですよ。
添付書類
申請書類と一緒に提出します。欠格事由に該当しないことの証明や、身分そのものの証明をするために提出します。作成日から3か月以内のものを提出してください。
必要になる書類や枚数は、警察署ごとに変わります。一発で申請するためにも、事前に確認してきましょう。どの警察署でも「住民票」と「身分証明書」は必ず要求されるようです。ここでいう身分証明書は運転免許証ではなく、役所で取得する証明書のことです。大体300円ほどで発行できます。
管理者を自分以外にお願いした場合は、その人の分も必要です。
STEP2:警察署に行って申請手続き
必要な書類がそろったら、いよいよ申請手続きに入ります。
警察署に行く前に、アポイントを入れておきましょう。担当者が不在だと受け付けてもらえません。仮に担当者が出勤していても、心証が悪くなる可能性があります。審査を少しでも有利に進めるために、予約は必ず入れておくことをおすすめします。
申請に行く際には、提出する書類の他に申請手数料(19,000円)、身分証などが必要です。
訂正印や筆記用具があると、書類に不備があってもすぐ訂正できます。
申請の手続きの最中、担当者から営業について尋ねられる可能性があります。
緊張して答えられない…なんてことにならないよう、準備をしておきましょう。
場合によっては、営業所の現地調査が行われることもあります。
提出した資料だけで、営業所の審査ができない場合に行われているようです。事前に担当者から連絡があるので、焦らず対応しましょう。
審査には、土日を除いて40~60日ほどかかります。
STEP3:古物商許可証をもらう
結果が出ると警察署から連絡がきます。古物商許可証は警察署に直接もらいに行きます。
認印と身分証が必要なので、忘れずに用意しておきましょう。
その後、古物商プレートと古物台帳を用意します。実はこの2つも必ず用意しないといけないんです。
インターネットで注文できますし、即日発送に対応しているところもあります。規格を満たせば、手作りでも問題ありません。
業者によって差がありますが、大体7日ほどで用意できます。
STEP4:開業届を出す
開業する場所の住所を管轄する税務署から、「個人事業の開業・廃業等届出書」を受け取り、記入して提出します。
提出に必要な資格や費用はありません。マイナンバーカードか、マイナンバーが確認できる書類と本人確認ができる書類のセットのどちらかが必要です。
開業届は、国税庁のホームページからダウンロードして、郵送することも可能です。その時は必要書類のコピーを同封して送ります。
また、「青色申告」で確定申告する予定の方は、このタイミングで申し込むのがおすすめです。
あとから申し込もうとすると、期限を過ぎてしまう可能性があります。万が一期限を過ぎると、その年の確定申告は白色申告になってしまうので、早めに申請しておきましょう。
開業届と一緒に提出すれば、慌てることもありません。
開業届は、ビジネスを始めた日から1か月以内に提出しましょう。
まとめ
古物商許可証と開業届の提出、どちらが先なのかを解説しました。
開業届は、ビジネスを始めてから1か月以内に提出すれば大丈夫です。しかし古物商許可証は、ビジネスを始めた時点で持っていないと、違反になってしまいます。
古物商許可証は、欠格事由に該当しない限り有効です。
取得したらすぐにビジネスを始めないといけない…なんてことはありませんので、安心してください。
大体開業予定日の3か月前から、準備に取り掛かる方が多いようです。手続きは面倒な部分が多いですが、ひとつずつ、確実に進めていきましょう!