「起業」と聞くと、手続きや準備がかなり面倒くさそう…
実際、開業するまで1年以上かかるケースもあります。
法律的にも重要なところなので、ミスがあると開業準備に影響してしまうことも。
そんなことにならないためにも、事前にしておくべき手続きは覚えておきたいところです。
実は手続きは、「個人事業主として起業する」か「法人を設立する」かで変わってくるんです。
そこで、それぞれのケースで必要になる手続きをまとめました。
意外と見落としがちなポイントもご紹介しますので、ぜひ見ていってくださいね。
個人事業主で起業する方向け!手続きで押さえるポイントは3つ
個人事業主として起業する場合、法人の場合よりも手続きが簡単だというメリットがあります。
企業や銀行から信頼を得にくいという点や、会社を設立しないと行えない事業があるといったデメリットもありますが、
最初は個人事業主で始めて、軌道に乗れば法人化するといった選択肢も。
個人事業主の場合、基本的には税務署に開業届を提出するだけでOKです。
手軽な手続きですが、押さえておきたいポイントが3つあるのでご紹介します!
開業届は地方自治体にも提出しましょう
税務署に開業届を提出したように、地方自治体にも開業届を提出する必要があります。
地方自治体に提出する書類は事業開始等申告書といい、地方版の開業届に当たります。
個人事業税や住民税などの地方税の支払いのために、地方自治体でも開業したことを知っておく必要があるんですね。事業開始報告書の提出は義務付けされてはいませんが、書類の名称や提出期限は各自治体によって異なる場合があります。
事前に各自治体のホームページなどを確認しておきましょう。
青色申告の申し込みをしておくと最大65万円の税金控除を受けられる!
開業届を税務署に提出するのと合わせて、青色申告の承認申請書も提出しておきましょう。
青色申告とは確定申告の一種で、正しい手続きをすると最大で65万円の控除が受けられます。
他にも従業員が家族の場合給料を経費扱いにできたりするなどお得なメリットが!
申告には簿記の知識が必要なので慣れないと難しいですが、今では確定申告のソフトが充実しているのでぜひ利用することをオススメします!
従業員を雇うなら社会保険の加入を忘れずに!
もし従業員の雇用を検討している場合、従業員の人数によっては社会保険の強制適用事業所の対象になります。
社会保険料は負担が年々重くなっているので、どのようなケースで加入しなければいけないのかしっかり把握しておきたいところ。
ポイントは常時従業員が5人以上ということ。
5人未満の場合、加入は任意となります。
対象にならない業種もありますが、加入義務を守らない場合の罰則もあるので忘れずに加入しましょう!
法人の設立は必要書類に注意!押さえておきたいポイントは3つ。
法人化は節税面で個人事業主よりも有利な面がある一方で、個人事業主として事業を開始するときとは手続きが異なります。
手続きが複雑で税務手続きがとても大変なんですよね。
税務や経理業務を本業と並行して行うことはとても大変なので、法人設立をする方の多くは手続きや税務関係を行政書士や税理士に依頼していることが多いかもしれません。
個人事業主のメリットでも紹介しましたが、法人なら企業や銀行から信頼されやすいなど、メリットも大きいんですよね。
個人事業主での起業を考えている方でも法人の設立方法は知っておきたいところですので、押さえておきたいポイントをいくつかご紹介します!
定款の作成・認証
定款(ていかん)とは、会社の運営に関する基本的な規則を定めたもので、簡単にいえばその会社のルールブックのようなもの。
定款に記載される事項は3つあるので、まずはこちらで確認しましょう。
①絶対的記載事項
定款に必ず記載しなければならない事項で、以下の内容が該当します。
- 目的
- 商号
- 本社所在地
- 資本金額
- 発起人の氏名または名称と住所
一つでも欠けた場合、定款全体が無効となるので注意しましょう!
②相対的記載事項
定款に記載した場合にのみ効力が認められる事項です。
- 株式の譲渡制限
- 役員の任期の伸長短縮
- 現物出資
- 株主総会などの招集通知を出す期間の短縮について
…などなど
必ず記載しなければならない内容ではありませんが、会社の方針を決めたなら記載しておかないとその効力が生じません。
③任意的記載事項
上記2事項に該当せず、また違法性のない事項のこと。方針を決めたとしても定款に記載してもしなくてもいい事項です。
- 事業年度
- 役員の人数
- 株主総会に関すること…などいろいろあります。
相対的記載事項のように定款に記載しなくても効力は生まれますが、記載しておくとより強い拘束力を持たせることができるということなんですね。
つまり、定款とは会社に関わる人たちに「所有者の株主がどういった形で会社を運営していくか」を宣言するということになり、法人を設立するときに必ず作成しなければならない書類なんです。
そして定款を作成しただけだと効力は生まれません!
作成した後は必ず公証役場の公証人に、定款が正しく作られているかを認証してもらいましょう!
法務局で登記してもらう
定款を作成・認証した後は、法務局で登記の手続きを行いましょう。
定款の他に登記申請書や登録免許税納付用台紙、 取締役の就任承諾書など多くの書類を提出する必要がありますが、ポイントとなるのは書類を作成するには法人用の印鑑が必須となる点。
スムーズに手続きをするため、前もって作成しておきましょう!
税務署で開業手続きを行う
登記が完了したら、管轄の税務署に法人設立届出書を提出しましょう。
法人設立届出書には、定款、登記事項証明書、設立趣意書、株主名簿、設立時貸借対照表を添付しなければなりません。
法人を設立してから2ヶ月以内に届け出をする必要がありますので注意が必要です。
その他にも給与支払事務所等の開設届出書や、個人事業主の手続きでご説明した青色申請の承認申告書、従業員を雇うなら各種保険の申請など、複数の手続きが必要となります。
なかなか大変は手続きですので、専門家のサポートを受けることも検討しましょう!
まとめ
個人事業主と法人を設立するかで起業の手続きが大きく異なることをおわかりいただけたでしょうか。
小規模で始める場合は個人事業主としてスタートし、軌道に乗れば法人化、というのもひとつの手段です。
はじめから利益が大きく出せる見込みがあるのなら、手続きは大変ですが法人で設立するメリットは大きいかもしれません。
いずれにせよ、どちらの選択でも司法書士や行政書士に相談することを強くオススメします!
