フランチャイズは、既に実績のある企業から経営のノウハウやサポートを提供してもらえるビジネスモデルです。
未経験でも開業しやすい・集客面で有利などのメリットがあります。
一方で、自由度が低い・ロイヤリティ(権利使用料)が経費を圧迫するなどのデメリットも。
法的トラブルに発展したり、借金を抱えて撤退を余儀なくされたりする…といった悲惨な結果も心配です。
メリットは魅力的だけど、デメリットが気になってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回、フランチャイズで失敗してしまう主な原因と、失敗しやすい人の特徴をまとめました。
「フランチャイズでやっていけるのだろうか」
「失敗だけは何とか避けたい!」
そんな人は必見です!
フランチャイズでも同じ!開業して失敗する原因3つ
フランチャイズで開業して失敗してしまう主な原因は、次の3つです。
- 経費が支払えなくなった
- 経営者の能力不足
- 周囲の環境が変わってしまった
個人で起業する場合と比べて大きな差があるように見えませんね。
しかし、ありがちな理由の裏にはフランチャイズならではの問題も隠れているのです。詳しくまとめました。
それでは、さっそくご説明します!
経費を払えなくなった
支出が収入を上回れば、経営は立ち行かなくなります。
手元の資金が不足することを「資金ショート」と言って、この状態に陥ると廃業するリスクが一気に高まります。
きちんと帳簿を付けていれば、資金ショートは起こらないはずでは…?
そう思う方も多いはず。でも経理の知識不足から、失敗してしまうことも多いんです。
例えば減価償却。
長期間使用する固定資産の導入にかかった費用を、使用年数に分けて少しずつ費用として計上していく会計処理のことです。
購入したタイミングで全額支払い、会計処理の段階で計上します。
そのため、実際の支出と書類上の支出がズレてしまうんです。
「なんだ、まだ資金あるじゃん!」と勘違いして、出費を重ねてしまうケースが多いんだとか…。
他にも、税金に対する認識不足や黒字倒産などにも注意が必要です。
もちろん、売上金が少ないことも原因です。
特にフランチャイズの場合、個人で開業する場合と比べて月々の出費は高額になります。
ロイヤリティや広告宣伝費、研修費といった費用が発生するからです。
その点では、フランチャイズは出費が多く、収支管理が大変なビジネスモデルなのかもしれません。
それでもフランチャイズにはお金を払うだけのメリットがあるので、自分のスキルや状況などを見て判断してくださいね。
経営者の能力不足
フランチャイズなら、経営ノウハウを提供してもらえます。
未経験者でも成功しやすい理由は、本部からの強力なバックアップのおかげなんです。
だからといって、それに甘えてスキルを磨かないでいると、やがて失敗する要因となります。
確かに、本部が積み上げてきたノウハウは役に立ちます。
しかし、いつでもどこでも通用するわけではありません。自分が出店するエリアや状況に合わせて、オーナー自身が工夫する努力が必要です。
「本部の指示に従っていれば何とかなる」という考え方は危険です。
また加盟(開業) する際は、業種選びも重要です。
「やりたいから」「今流行のビジネスだから」といった安直な理由では、経営についていけず失敗する可能性があります。
本当に将来性があるのか、自分に合ったビジネスなのかなどを見極めるようにしましょう!
周囲の環境が変わってしまった
よくあるのは、近くに競合店が出店して売り上げが激減してしまうケース。
競合店ばかりでなく、同じフランチャイズチェーンが出店する可能性もあります。フランチャイズ本部によっては、狭い地域に集中的に出店する戦略を取っているからです。
避けたい方は加盟する前に、法定開示書面などで必ずチェックしましょう。
他にも、消費者の需要が変化してしまうことも、失敗の原因のひとつです。
これは加盟するときのリサーチ不足で起こることもあります。
「流行っているから」という理由だけで選ぶと、ブームが去った後一気に厳しくなります。
次の戦略を考えていればいいのですが、油断しているとあっという間に売り上げが減少します。
年収数千万円稼いでいた人が、今や借金数千万円…なんて話もよくあります。
流行り廃りの大きいビジネスは、撤退するタイミングも含め良く見極める必要があります。
フランチャイズならではの廃業理由
フランチャイズは本部と契約を結んでビジネスを進めるため、本部の影響に大きく左右されます。
本部とのトラブルが原因で、廃業してしまうこともあります。
契約違反を犯すと、契約解除を言い渡されたり、違約金などを請求される場合もあります。
契約解除とは、契約違反があったときに「これ以上あなたとは取引しません」と契約を切られてしまうこと。
フランチャイズとしては最も厳しい処分になります。こんな失敗は、何としてでも避けたいですよね。
また、違約金は数千万円に上るケースも少なくありません。
違約金が支払えないから、赤字経営を続けるしかない…。そんな加盟店も存在しています。
中には「納得いかない」と裁判にまで発展してしまうことも。
そこまで揉めてしまうと、再スタートを切るのは大変です。
ここがダメ!フランチャイズで失敗しやすい人の特徴
未経験でも成功しやすいといわれるフランチャイズでも、向き不向きはあります。
そこで、失敗しやすい人の特徴もご紹介します。
- 他人の意見に流されやすい
- 頑固すぎる
- コミュニケーションを取るのが苦手
- 自己管理ができない
たとえ当てはまるタイプだとしても、諦めるのには早いですよ!
日ごろの考え方や行動を変えてみるだけでも、気付けることがあるはずです。
他人の意見に流されやすい
開業すれば運営に関わる重要な部分を、自分で決めなければいけません。
契約があるので全てが思い通りではありませんが、自分で決断しないといけないことばかりです。
そのとき、誰かの意見をそのまま鵜呑みにしてしまう人は要注意。
自分が納得しているなら良いのですが、失敗しても責任を取るのは自分です。
「○○のことを信じて損した!」と思っても、それを責めることはできません。
フランチャイズでも同じです。
本部の提示した売上予測を信じて加盟して、その半分以下の利益しか出せないケースもあります。
理不尽かもしれませんが、「契約書にサインしたのは自分」で終わってしまいます。
(※もちろん売上予測がずさんだった・不利な情報を隠していたなどの問題があれば、話は別です。)
せっかくビジネスを始めるのですから、自分で舵をとっていきたいですよね。
自主性を持って動いていきましょう。
頑固すぎる
起業するからには、自分の意見を通したい!
そう思いたくなるのも分かりますが、固執すると失敗の原因につながります。
フランチャイズでは、本部の看板やブランド商品を使って開業します。
本部は自社のブランドイメージを守るため、加盟店にさまざまな制限をかけています。
無視して勝手な経営を続けていると、トラブルになりかねません。最悪の場合、契約解除になる可能性も。
すべて自分のやり方で経営したいなら、フランチャイズは向いていません。
自力で開業した方が、長い目で見て失敗しにくいです。
コミュニケーションを取るのが苦手
フランチャイズでは、人材確保や教育は加盟店オーナーの仕事です。スタッフ同士のトラブルも、オーナーが対応しないといけません。
人材マネジメントのスキルが低かった場合、採用したスタッフが定着しません。
人手不足となり、お店が回らなくなるリスクが高まります。そうなると、集客力があっても廃業せざるを得ない…なんて悔しすぎる状況に。
人に教えるのが不得意だったり、間に入って仲裁することが苦手な人は苦労するかもしれません。
誰も雇わずに一人で開業する場合でも、本部の担当者とのやり取りは必要です。
コミュニケーションが苦手で「誰とも関わらず仕事がしたい」という人は、方向性を見直すことをおすすめします。
自己管理ができない
自分の仕事を他人に押し付けたり、逆に何でも自分でやろうとするタイプは要注意。
大きなトラブルに発展したり、お店を回せなくなったりするおそれがあります。
オーナーになると、店舗運営は自分でこなさないといけません。
本部からのバックアップもありますが、実際に中心となって動くのは加盟店オーナーです。
自分がやるべき業務を本部やアルバイトに押し付けていると、いざトラブルになったとき対応しきれません。
責任を取るのはオーナー、つまり自分なんです。
何でも自分でやろうとするタイプも要注意です。
開業すると、サラリーマンだった頃とは違った忙しさに見舞われます。
そんなとき、自分の時間を削るばかりでは限界があります。
他人に任せられる業務は他の人にお願いして、時間を確保する工夫も必要です。
自分でもできる!失敗の回避術
フランチャイズで開業して失敗する原因と、フランチャイズに向かない人の共通点をご紹介しました。
ここからは、失敗を避けるためにできる対策をご紹介します。
今回ご紹介するのは以下の3つ。
- 自分から動くように心がける
- 無計画な行動は避ける
- 金銭管理はしっかり行う
他にも対策はありますが、この3つは自分一人でできる対策です。
本部に相談する前に、自分でできることはやっておきましょう。
自分から動くように心がける
必要なアクションを自分から起こせるか。
これは経営者として必要不可欠なスキルのひとつです。
フランチャイズでもそれは同じ。
加盟前には本部の評判を調査したり、売上予測をシミュレーションしたり。
オープン後なら独自に宣伝活動したり、市場を調査して商品の仕入れを調節したり。
本部に聞く前に、まず自分ができることは積極的に取り組みましょう。
トラブルにならないか不安なときは、事前に打ち合わせすると安心できますよね。
国や地方の商工会議所が開いているセミナーに参加して、経営について勉強するのもおすすめです。
時間がないときは、ビジネス書を読んで経営に取り入れてみる方法もあります。
経営については、本部が実施する研修会やマニュアルなどで身に付けることができます。
オープン後も、本部のスーパーバイザー(SV)が、アドバイスしてくれます。
本部のフォローも活用していきましょう!
そのためにも、日ごろから本部とのコミュニケーションは大切にしてくださいね。
トラブルを最小限に抑えやすくなるメリットもあります。
無計画な行動は避ける
行動力は大切ですが、行き当たりばったりの行動は失敗の原因となります。
フランチャイズでは、本部選びを間違えてしまうと、大きな損失につながります。
フランチャイズ契約は独立した事業主同士の契約なので、クーリングオフ制度は使えません。
簡単に契約を解約できず、泣き寝入りになる可能性も高いんです。
本部はさまざまな売り文句で加盟希望者を募ります。
そして契約を結ぶ前に面談を行い、問題なく経営ができるか確認を行います。
しかし中には、加盟店を増やすことしか考えていない本部もあるんです。
例えば、加盟金だけ回収したら後はほったらかしにする本部。「オープン屋」と呼ばれます。
フランチャイズで失敗しないためには、悪徳な本部と契約しないことが重要です。
本部のやり方に問題がなくても、それが自分に合わないと成功することは難しいです。
徹底的なリサーチを行って吟味してから、実行に移しましょう。
金銭管理はしっかりと!
開業する際には、まとまったお金が必要です。
加盟金や保証金をはじめ、店舗の物件取得費や内外装工事費用など、その名目はさまざま。
ホームページや説明会資料などで公表しているフランチャイズ本部も多いので、見たことがある方も多いと思います。
実際はそれに加えて、起業後の運転資金や生活費を用意しておきたいところ。
いくらフランチャイズでも、オープンしてすぐに収入が安定するわけではありません。
その間に資金がゼロになってしまうと、軌道に乗る前に廃業してしまいます。
資金は余裕をもって準備しておけば、落ち着いて経営に集中できます。
せっかく準備したお金を無駄にしないためにも、金銭管理はきちんと行いましょう。
月々の出費と内容を知っておけば、無駄な出費が分かるのでコスト削減もやりやすくなります。
さらに資金繰り表を作成すれば、お金の流れを把握するのに役立ちます。
資金繰り表とは、現金の入出金を記録した表のこと。どのタイミングで、いくらのお金が動いたのかが分かります。
「お金の動き」を記録するので、先ほど触れた減価償却のミスも防ぐのにも、役立ちます。
まとめ
フランチャイズで開業しても、全員が成功するとは限りません。入念に準備を進めたのに、失敗してしまうことだってあります。
それでも失敗する原因や回避方法を知っておけば、落ち着いて対処することができるはず。
さらに失敗したときの対策を身に付ければ、万が一の時でも安心ですよね。
本部も成功しやすい経営方法を模索したり、スーパーバイザー(SV)を派遣してアドバイスしたりするなど加盟店をサポートしてくれます。
上手く活用することで、さらに成功率を上げられます。使えるものはどんどん使っていきましょう!