リサイクルショップや買取業などで起業するなら、古物商許可証が必要です。
罰則もあるので、必ず取得してから開業しましょう。
この他にも、古物商許可証を持つメリットがあります。
それぞれ詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
「古物商許可証を取得するのは面倒」と考えている方にも、おすすめです。
古物商許証があると、何ができるの?
古物を扱うビジネスをするなら、必ず必要になる古物商許可証。
もし許可証を持たずに営業していると、無許可営業になってしまいます。無許可営業は、3年以下の懲役、もしくは、100万円以下の罰金…と、なかなか厳しい罰則が定められています。
「副業でちょこっとだけ稼げればいいから…」という方でも、許可証は必ず申請しておきましょう。
他にも、古物商許可証でできることをご紹介します。
ほぼすべての中古品ビジネスに参入できる
古物商許可証があれば、ほとんどの中古品(新古品)ビジネスを行えます。
せどりや古着屋をはじめ、中古車を使ったレンタカービジネスや修理販売など、ほぼすべての中古品ビジネスで開業できます。
具体的には、以下のことがビジネスとして行えます。
- 古物を買い取って売ることができる
- 古物を修繕して売ることができる
- 古物を買い取って一部の部品だけ売ることができる
- 古物を別のものと交換することができる
- 古物を買い取って貸与することができる
- 古物を買い取って海外向けに販売することができる
繰り返し「古物」という言葉が出ていますが、ほとんどの中古品や新古品が該当します。古物は13種類の品目に分けられていて、これに当てはまらなければ無許可でも取引できます。
気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください。
古物市場に入れる
古物市場とは、古物商許可証を持っている人だけが参加できる市場です。ここでは中古品限定のオークションが行われていて、不要になった在庫を他の古物商に買い取ってもらえます。一般的な価格よりも安く仕入れられるので、仕入れ先としても有力です。
古物商が集まるので、情報交換の場所として重要な役割を果たしています。
毎日開催されているわけではなく、取扱品目が限定されている場合もあります。取り扱う品目が決まっているなら、限定の市場もおすすめです。
独特な雰囲気も相まって委縮してしまう人も多いようですが、活用できれば強力な仕入れ先になりますよ!
古物商の営業は主に3種類
古物商の営業形態は、古物営業法で「1号営業」「2号営業」「3号営業」の3つに分けられています。
申請時には、それぞれの業態に合わせて申請します。
1号:古物を使ったビジネスを行う
古物を売買したり、交換(レンタルも含む)したりすることを指します。委託で行う場合もこちらに該当します。
アンティークショップの営業や、中古車のレンタル業が挙げられます。
2号:古物市場の運営
古物市場を運営する古物市場主は、2号営業で取得します。古物市場主は古物の売買に参加しません。
3号:古物競りのあっせん
古物のインターネットオークションを運営することを指します。
まぎらわしいのですが、ネットオークションに出品するだけなら古物競りあっせんにはなりません。
取得申請は誰でもOK
古物商の許可申請は、手数料を支払えば誰でも申請可能です。手続きは、営業所の住所を管轄する警察署(公安委員会)で行います。
申請すると、警察署が許可証を発行しても問題ないか審査します。具体的な審査内容は公開されてはいませんが、以下の2つといわれています。
欠格事由に当てはまっているかどうか
欠格事由とは、古物商の許可を出せない条件のことです。古物商が許可制になっているのは、防犯や被害の回復を迅速にするためです。犯罪を犯したり、うっかり見逃したりする可能性のある人に、許可証を渡せないようになっています。
営業所にふさわしい物件か
営業所とは、いわゆる店舗・事務所のことです。審査の際には、古物を管理できる場所なのかチェックされます。申請者に問題がなくても、店舗の警備がずさんだったら意味がありませんよね。
インターネットだけで経営する場合でも、営業所なしでは申請できません。自宅を営業所にする・物件を用意するなどの対策をして、申請する必要があります。
古物商許可証を取得するメリットは?
古物商許可証を取得するのは、法律で決まっている義務です。
とはいえ、申請もタダではないですし、何か他にもメリットはないものかと感じている方も多いのではないでしょうか。
古物商許可証を持つメリットは主に3つあります。
- 無許可営業のリスクを避けられる
- 信頼を得やすい
- 節税につながる
特に「無許可営業のリスクを避けられる」は、キャリアを守るという意味でも重要です。
詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
無許可営業のリスクを避けられる
無許可営業かどうかの判断は、警察が行います。取引が一回だったとしても、数百円の取引だったとしても、逮捕されるリスクがあります。
黙っていればバレない…というものでもありません。古物商は、古物営業許可番号を提示する義務があります。ごまかそうとしても、見る人が見ればすぐにわかってしまうんです。
許可証を取得しないのなら、古物以外の物を取り扱うしかありません。とはいえ、知らず知らずのうちに中古品を仕入れている場合もあります。特に取引相手の顔が見えないネットショップには、注意が必要です。メーカーや小売店が運営しているサイトを利用するか、直接お店に足を運んで仕入れるようにすれば、無許可営業のリスクはおさえられます。コストがおさえられないデメリットはありますが…。
仕入れ先が制限されてしまうと、思うように売り上げが伸びない可能性があります。
いっそのこと古物商許可証を取得して、フリマアプリからも商品を仕入れるのもアリかもしれませんね。
信頼を得やすい
「公的機関から許可を得ている」というのは、お客様の信頼を得やすいステータスです。
最近、インターネットを使った詐欺師や、遺品を盗む悪質な遺品整理業者が増えています。情報収集が簡単な現代では、利用する前に業者の信用度をチェックしている人も多くなりました。
古物商の許可を取得していれば、お客様から信頼してもらいやすく、ビジネスチャンスをつかみやすいです。
もちろん、許可証を持っているからといって油断は禁物。自分自身が誠実なビジネスを心がけることも重要です。
そのうえで「公的機関から認められている事業主です」とアピールすれば、集客面で役立ちます。
開業届も出せば、節税にもなる
古物商許可証を取得したなら、開業届も出してしまいましょう!
開業届を提出すれば、所得税が軽くなるメリットが得られます。
もし古物商許可証を持たずに転売する場合、それをビジネスにはできません。すると、売上金額すべてに対して所得税が発生します。開業届を出し、ビジネスとして転売を行えば、経費を引いた利益に対しての課税になるんです。
経費には営業所の家賃や電気代、商品の仕入れ代などが含まれます。開業届を出しているかどうかで、支払う税金に大きな差ができますね。
さらに、青色申告の申請も済ませておけば、最大65万円の所得控除を受けることもできます。
開業届は副業でも提出できます。節税対策が気になる方は、ぜひ検討してみてください。
意外と簡単?古物商許可証を取得する4ステップ
古物商許可証を持っているとできること・メリットについて解説しました。
最後に、古物商の許可を申請する方法をご紹介します。
申請には、欠格事由のチェックと営業所の確保が欠かせません。その中で営業所の確保は、申請前の準備で一番苦労する内容です。
どこでもOK…というものでもないのに、その基準が分かりにくいからです。
営業所の条件についてもご説明しますので、参考にしてくださいね。
欠格事由のチェック
最初に、自分が欠格事由に当てはまっていないか、チェックしておきましょう。
一般的な社会生活を送っていれば、まず該当することはない条件ばかりです。万が一該当していても、対策を立てれば取得できる場合もあります。
取得した後、この条件に当てはまってしまうと、許可証は取り消されてしまいます。例えば、古着屋の経営が上手くいかず破産した場合、「破産手続き開始の決定を受けて、復権を得ない者」に該当します。
つねに頭の隅に置いておきたい条件なので、一度目を通しておくことをおすすめします。
営業所を選ぶ
申請手続きをする前に、ビジネスの拠点となる、営業所を取得します。
営業所は、古物商を営むのにふさわしい場所でなければいけません。その条件は主に3つあります。
警察署によって基準にばらつきがあるので、気になる場合は事前に問い合わせておくと安心です。
また古物商には、ひとつの営業所に一人の管理者を置く義務があります。管理者は申請者が兼任しても問題ありません。
他の人にお願いする場合は、毎日営業所に通えるか確認しておきましょう。
実体のある場所
営業所には、事業を営むことができる場所であることが求められます。
盗難事件が発生したとき、買い取った在庫に盗品が紛れ込んでいないか、警察官が調べに来ることもあります。そのとき、申請書に書かれた住所に在庫がなかったら、捜査が遅れてしまいます。
住所や電話番号を借りて、空間を借りないスタイルのバーチャルオフィスは、営業所として利用できません。
独立性がある
ざっくり説明すると、他のスペースとしっかり区切られていることです。営業所には、買い取った在庫や取引の記録(古物台帳)が保管されています。これらが適切に管理できない場所では、許可は下りません。また、お客様が他の事業者と区別が付けられるかどうかも、重要なチェックポイントです。
シェアオフィスやコワーキングスペースのように、壁やドアで区切られていない場所は、営業所にふさわしくないとみなされます。
そこで営業をする権利を持っている
住居専用の賃貸物件だったり、短期間の契約だったりすると、許可が下りません。
大屋さんや管理会社から許可を取ったり、契約更新の意思があることを証明したりすれば、解決できるケースもあります。
必要な書類をそろえる
営業所を用意できたら、申請に必要な書類を用意します。
必要なのは「申請書類」と「添付書類」の2種類。
申請書類は、警察署でもらえます。直接もらいに行く場合は、事前にアポを取っておくとスムーズです。直接もらいに行くと、記入のコツや注意点を聞くことができるのでおすすめです。申請書類は、ホームページからもダウンロードできます。
申請書類は細かいところまでチェックされるので、きっちり記入しましょう。
添付書類は、申請書と一緒に提出する書類です。警察署によって変わりますが、以下の書類はどの警察署でも要求されます。
管理者を別の人にお願いしている場合、その人の分も必要です。
- 本籍が記載された住民票の写し
- 身分証明書
- 略歴書
- 誓約書
住民票の写しと身分証明書は、役所から取り寄せます。略歴書と誓約書は、警察署からテンプレートをもらって、記入します。
この他にも、インターネットで取引する場合は「URLの使用権限があることを疎明する資料」が必要です。
プロバイダーなどが発行したドメイン割当通知書や、ホームページの画面とURLを映したスクリーンショット画像などがあります。
申請手続き
書類がそろったら、いよいよ手続きです。
手続きに行く前に、予約を入れておきましょう。「担当者が不在で、申し込めなかった」「心証が悪くなってしまった」といった失敗を防げます。
手続きの際、担当者から営業内容に関する質問をされる可能性があります。書類内容の確認や仕入れ先についてなど、申請内容が分かっていれば答えられるものが中心です。
申請手続きが終わったら、あとは結果を待つだけです。審査には40営業日かかるといわれています。警察署によっては短縮される場合もあるそうです。
逆に、書類に不備があるなどの理由で延びる場合もあるため、準備はミスのないように進めましょう。
まとめ
古物商許可証があれば、ほぼすべての中古品ビジネスに参入できます。その他にも、古物市場に入れたり、お客様からの信用が得やすくなるなどのメリットがあります。
古物商許可証は、基本的に無期限で使えます。引っ越しや業態変更などしない限り、更新手続きも不要です。
「できそうだから、やってみようかな?」と考えているなら、思い切って取得してしまうのもアリですよ!