「フランチャイズだけはやめておけ」
「フランチャイズに加盟するってことは、自ら奴隷になるようなもん」
ネットで検索すれば、こんな趣旨の意見がたくさん出てきます。
それを知ってしまうと「本当に大丈夫だろうか…」と心配になってしまいますよね。
結論からいってしまうと、「使い方次第」です。
フランチャイズ契約を結んだすべての人が不幸になるとはいえませんし、逆もまたしかり。
注意点をしっかりおさえておけば、失敗して廃業するリスクを避けることができます。
そこで今回、フランチャイズがヤバいといわれるケースと、悪質な本部を避けるためにやるべき対策についてご紹介します。
契約前のお守り代わりに、ぜひご覧ください。
フランチャイズがヤバいといわれる4つの理由
フランチャイズがヤバいといわれるのには、いくつかの理由があります。
ここではその中でも特に多い4つの理由について解説します。
- 辞めたくてもお金がヤバくて辞められない
- 本部はあくまでサポートしかできない
- 契約前の話とのギャップがヤバい
- オーナーの労働時間がヤバい
大体が、本部の対応の悪さに起因しているようです。加盟店側から改善する手段が少ないのも、「ヤバい」といわれるのに拍車をかけています。
辞めたくてもお金がヤバくて辞められない
ビジネスで成功するかどうかは、やってみないと分からない部分もあります。
ですがフランチャイズでは、契約期間中の解約は違約金が発生するのが一般的です。金額は本部によって違いますが、数百万円になったケースもあるようです。
赤字が続いて破産しかけていても、違約金は容赦なく請求されます。そのため、赤字のまま経営を続けるしかないお店もあるんだそうです。さらに、自己破産や訴訟問題に発展してしまうケースもあります。
本部から融資を受けた場合は、返済を求められます。
開業資金が足りない加盟店オーナーのために、金融機関のかわりに融資してくれる本部があります。解約時に返済金が残っていたら、残りの返済金を請求されます。
普通のこととはいえ、破産しかけているのにさらに借金なんて払えないのも当然ですよね。返済方法などは解約する際、本部と相談して決めるそうですが、借金免除は期待できません。
違約金と借金返済のプレッシャーから、ヤバい経営状態でも抜け出せない方が多いそうです。
本部はサポートしかしてくれない
フランチャイズのデメリットでもありますが、本部は店舗運営までしてくれません。
アドバイスや援助はしてくれますが、店舗運営を代わりにやってはくれないんですね。本部によっては、業務を一部代行してくれることもありますが、別途料金がかかるリスクがあります。
経理の仕事や集客対策も、基本的に加盟店側の仕事です。本部企業のブランド力があるとはいえ、お客様が勝手にやってくる…なんてことはありません。オーナーが上手く営業活動しないと、やがて廃業に追い込まれてしまいます。でも脱サラしたばかりの人が、いきなり上手に集客できるとは限りません。
多くの本部は、開業前後のサポートを手厚くしていますが、その後はオーナーが主体となって動きます。数か月間で未経験のオーナーが独立するのは難しく、開業後1年で厳しい状況になってしまう方も多いそうです。
契約前と後のギャップがヤバい
「ここなら上手くやれそう!」と思ったのに、思ったようなサポートを受けられない…
説明会で聞いていたほど儲からない…
説明会や資料などにあるうたい文句が、実態とかけ離れていることは多々あります。
フランチャイズ・ビジネスでは、本部は加盟店からの支払いで利益を得ています。加盟店の数が増えるほど、本部の利益は大きくなります。魅力的にアピールする中で、どうしてもネガティブな情報は後回しにされがちです。
ヤバいところだと、ありもしないデータをでっちあげて、いかにも儲かっているように見せているんだそう。オープン後に「詐欺じゃないか!」と訴えるも、「契約書に書いてるでしょ」「いやなら違約金払って解約しなさい」と言われ、泣き寝入りするしかないオーナーもいるようです。
例えば、「売上予測の半分も稼げない」「人手が足りないことを隠された」といったトラブルがあります。ロイヤリティの算出方法を、実際とは異なる方法で説明していたケースもあります。
オーナーの労働時間がヤバい
聞いたことがある方も多いかもしれませんが、オーナーは、長時間労働におちいりがちです。
そのまま体調を崩したり、最悪の結果になってしまう話も見かけます。
人手が足りない時間帯を、オーナーがカバーするしかないのが主な原因です。その時間帯だけお店を閉めようにも、契約書通りに営業しないといけません。近年は人件費も高騰していて、余裕をもってスタッフを雇えません。
オーナー自身には人件費はかからないので、人手が足りない時間帯に出勤してやり過ごしています。
その結果、過労死ラインまで働き続けてしまうオーナーが後を絶ちません。
ヤバいフランチャイズは「ギャップ」が強い!自分でできる対策は?
ヤバいフランチャイズは、加盟前後のギャップが激しいのが特徴です。
特に悪質な本部はカモになる加盟店が欲しいので、とにかく聞こえの良い言葉を連発します。加盟前の印象が好印象だった分、加盟後とのギャップが大きくなります。でもそれに気づいた頃には、契約で逃げられなくなっている場合もあります。
経験が少ないせいで、結果的にしっかりサポートできていない本部もあります。
こういった本部を避けるためには、事前のリサーチが欠かせません。
いい情報だけでなく、デメリットやリスクについてもしっかり把握しておきましょう。
この他にもやっておきたい対策をまとめました。
加盟する前に、自己分析をしっかり行う
就職・転職でもおなじみの自己分析。起業する場合でも、自己分析は必ずやっておきましょう。
今までの経歴や築いてきた人脈、起業してやりたいこと、やりたくないこと…
自分がフランチャイズに何を求めているのか、把握しておくことでミスを減らせます。
フランチャイズには、向き不向きがあります。場合によっては、フランチャイズではなく開業支援を利用したほうがいいかもしれません。
さらに本部に求めるべきサポートや、自分と相性のいい経営方針が分かれば、自分に合わない契約を結ぶ可能性がグッと下がりますよ。
本部に求めることを洗い出す際、優先順位をつけてみるのもおすすめです。
自分の望みを100%かなえてくれる本部は、なかなかありません。妥協しなければいけない部分も出てきます。
自分が我慢できること・できないことを知っておけば、本部選びもスムーズに進みます。
業界研究は自分でも行う
開業しようと思っている業種や業界については、自分でも調査しておきましょう。
フランチャイズで成功するには、将来性のある業種を選ぶことが欠かせません。
一時的な流行に乗っかって加盟するのはかなり危険です。契約期間中にブームが去った場合、売り上げが落ち込んで赤字経営になってしまうかもしれません。
自分の状況とあわせて判断した結果、自力で開業した方が成功しやすい場合もあります。
すでに人脈やノウハウが身についているなら、フランチャイズに加盟しなくてもやっていける可能性が高いです。むしろフランチャイズに加盟して、思うような営業ができないリスクがあります。
市場調査もやっておけば、本部の経営戦略を知る手掛かりにもなります。
どのような商品が、どんなお客様に売れているのか…
今後ニーズはどのように変わっていきそうか…
しっかりとした戦略を打ち出しているなら、ヤバい本部である可能性は低いです。リスクを避けるためにも、調べておくことをおすすめします。
契約前の話はうのみにしない
本部と加盟店の関係は、法律的には「独立した事業主同士」として扱われます。契約後に「聞いてた話と違う!」と感じる結果になっても、「サインしたのはあなたでしょ」で片付いてしまいます。法に触れることや契約違反などがあれば解約できますが、簡単ではありません。
ウソをつく本部はごく一部ですが、本部からの説明だけで契約するのは危険です。
たとえば、本部が提示する売上予測は、利益を保証するものではありません。自分でもシミュレーションを行ったり、データの根拠を確認するなどしましょう。
他にも、本部の提供するサポートについて、具体的な内容を尋ねてみるのもおすすめです。
事前のリサーチは複数の媒体で行って、本部選びは慎重に行ってください。
仮に「今契約しないと、他の方が先に契約してしまうかもしれません」といわれたとしても、踏みとどまりましょう。
むしろ、契約相手の理解を確認しないまま話を進めようとする本部は、ヤバい本部かもしれません。加盟店が廃業してしまうと、本部にも少なからずダメージがあるからです。だから本部も、契約前に加盟希望者と面談して、信用できる相手なのか確認しています。
契約する前には、しっかりと契約するパートナーの企業のことを調べ、急がず判断してください。
契約内容はなるべく具体的に把握する
フランチャイズのトラブルは、契約内容について認識がずれているせいで起こるケースが多いそうです。
特に、指導援助義務の部分で、本部と認識がずれているケースが後を絶ちません。
フランチャイズ契約には、原則的に「指導援助義務」について書かれています。本部が加盟店に、どんなアドバイスやサポートを行ってくれるかをまとめているんですね。
しかし、抽象的な表現になっている場合が多く、加盟店の期待通りの指導が受けられるとは限りません。ケースバイケースで判断するため、はっきりできない部分もあるからです。
契約内容通りのサポート内容があったとしても、文字通りのサポートで中身のないものである場合もあります。
例えば、派遣してくれるSVが入社したばかりの業界未経験者だったり、精神論ばかりでアドバイスを全くしなかったり…。ホットラインを設置していても、「あなたの努力が足りないんでしょ」としか回答しない本部もあるようです。
あまりにひどい場合は、本部に損害賠償を請求ができますよ。そのためにも、契約内容を十分に理解しておくことが大切です。
開業資金は多めに用意する
本部の説明で「開業資金0円」といわれていても、実際は物件取得費や広告宣伝費などで多額の資金が必要になります。
さらに、売り上げが安定するまでの運転資金や、生活費も用意しなければなりません。開業するための資金は、なるべくゆとりをもって用意しておきましょう。
フランチャイズなら、本部が審査をサポートしてくれます。本部の信用度があれば、金融機関の審査も通りやすくなります。
また、本部が融資をしてくれるケースもあります。メリットもありますが、デメリットもあります。例えば、本部への返済で月々の支出が増えますし、契約期間中に解約する場合、残った返済金額をまとめて請求される可能性もあります。
利子が高く設定されていれば、経営を圧迫する原因にもなりかねません。本部からの融資は、貸し付けの条件を確認してから検討してくださいね。
個人的には、日本政策金融公庫の「新規開業資金」がおすすめです。担保や保証人がナシでも申し込めますし、利子率の低さは国内トップレベルです。
おそらく一番安全に借りられる機関なので、ぜひ検討してみてください。
まとめ
フランチャイズは比較的歴史の浅いシステムで、法整備が追い付いていないのが現状です。中にはこれを逆手にとって、加盟金だけむしり取って放置する悪質な本部も存在します。
トラブルを避けるためには、契約前に多角的な視点で情報を集めましょう。ネットで検索すると、ここに書ききれなかった注意点も多く出てきますので参考にしてくださいね。
もちろん、加盟後はオーナー自身の努力も欠かせません。本部から学んだノウハウをそのまま使うのではなく、状況に合わせてカスタマイズしていくことで、フランチャイズのメリットを生かすことができます。
「ヤバいことになってしまった…」と頭を抱えないためにも、コツコツ準備を進めていきましょう!