起業時の資金繰りの方法として、真っ先にあがるのが日本政策金融公庫の「新規開業資金」と「新創業融資制度」です。
この2つの制度はとても良く似ているものの、決定的な違いがあります。
今回はその違いや、審査を受けるときのポイントをご紹介。
「新創業融資制度」と聞いてもいまいちピンとこない、、いう方はまず確認を。
「よし!申請するぞ!」と決意している方はぜひこれからの進め方の参考にしてください。
まずは、新創業融資制度ってなに?
新創業融資制度とは、新たに事業や開業してから日の浅い人向けに「無担保・無保証人」で融資をしてくれる制度です。
新創業融資制度を利用するにはさまざまな条件がありますが、中でも重要なのは、
- 事業開始後、税務申告を2期終えていない人
- 創業資金総額の10分の1以上の自己資金を有していること
- 事業や開業を行なう上で「適正な事業計画を策定」していること
が挙げられます。
また、融資額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)になります。
新規開業資金と何が違うの?
日本政策金融公庫の中には「新創業融資制度」や「新規開業資金」など、開業をする創業者のための融資制度があります。
その違いは対象、融資額、利率、返済期間、保証人の有無などです。
また、新創業融資制度を利用する場合には日本政策金融公庫のほかの制度とセットになりますが、新規開業資金はこの制度のみでの申し込みが可能です。
新規開業資金の制度の対象者は「新たに事業をはじめる人」「事業を始めてからおおむね7年以下の人」であり、融資額は7,200万円(うち運転資金4,200万円)になるので、どちらを選択するかは自由になります。
審査に受かりやすくなる!新創業融資制度を利用するためにやるべき準備
新創業融資制度の審査に受かりやすくするためには大きく考えて、
- 事業や開業の計画が信用出来ること
- 自己資金額が創業資金総額の10分の1以上しっかり有していること
- 事業や開業するにあたって経験したことのある業種であること
- 返済することにおいて人として常識を有していること
などがあります。
日本政策金融公庫は、政府が100%出資している機関です。
これは国の経済というものを国民一人一人が開業し、お金を回してもらうために設立されています。
条件はさほど厳しいものではありませんが、お金を融資する以上「信用」と「計画性」が大切になってきます。
まずは自己資金をしっかり用意しておく
新創業融資制度で融資を受けるためには「自己資金が創業資金総額の10分の1以上有していること」が必要になってきます。
しかし、審査に通るには10分の1よりも多いほうがよく、3分の1以上あったほうが確実です。
また、「見せ金」や「タンス預金」は自己資金を証明するための資金には該当しないので注意が必要です。
「見せ金」とは家族や友人に、自己資金の足しにするために一時的に資金を借りて、通帳に入れることで自己資金額の条件を達成させるための方法です。
しかし、公庫は過去の通帳などお金の流れもチェックするので、見せ金を行なった資金は外されてしまいます。
「タンス預金」も同様に過去のお金の流れをチェックされるので、通帳の急激な資金の増加には裏付けが取れず、自己資金の証明には該当しません。
タンス預金があり、開業資金などを新創業融資制度の利用を考えているならば、早めに通帳に記帳することをオススメします。
入金の際には、脱税を疑われないように注意してください。大きな額の急激な入金は怪しまれます。
経歴や自己PRは完璧を目指そう!
新創業融資制度の審査を通るには信頼が大切です。
経歴や自己PRで極端に誇張してアピールする必要はありませんが、事実や過不足なく記載をし、自己PRでは自身の強みなどにも言及してしっかり書き上げましょう。
必ず自分以外の誰かに文章をチェックしてもらって、どんな印象を受けるか聞いてみましょう。
最初から完璧な自己PRが書ける人はなかなかいません。
いろんな人に見てもらいながら書き直すことを前提に何度も挑戦してみてください。
また、審査の条件の中には「事業や開業するにあたって経験したことのある業種であること」が挙げられています。
これは、経験していることによって、開業の成功を期待できるという信頼度の証です。
今まで経験したことが無い業種で開業するために信用を得るには、説得力のある計画が必要になるのは当然です。
新領域での開業を検討している方はアルバイトでも良いので、1年半~2年程度はその業界のことを経験しておくと審査も通りやすくなるでしょう。
事業の将来性もしっかりアピールするべし
事業の将来性をしっかりアピールしておくことも大切です。
国の制度と言えど、簡単に貸してくれるほど甘くはありません。
この記事を読んでいる皆さんも、返してくれるかわからない相手にお金を貸すのはイヤですよね?
信用を獲得できるだけのしっかりとした計画を提示することが大切です。
経済産業省、厚生労働省、文部科学省、総務省など各省庁から公表されているデータや国が目指している社会の姿も意識しましょう。
自分の事業が国策や地域の行政、地域住民の経済活動などにどのように良い影響を与えうるかなど、様々な観点でその事業の魅力を伝える必要があります。
まとめ
新創業融資制度の特徴は他の日本政策金融公庫の制度と併用する必要はありますが、保証人不要で融資を受けられるメリットは大きいでしょう。
融資を受けるには信頼が必要です。
しっかりとした計画を練り、開業に向けて自分の事業の将来性を語れるようにしておきましょう。