本部選びの際に気になることは、いろいろありますよね。
信頼できる本部なのか…
将来性があるのか…
店舗数は、本部選びの手掛かりにもなります。
店舗数が多い本部は、それだけ勢いがあるからです。店舗数だけで判断するのは危険ですが、業界や本部の将来性を知る目安のひとつです。
今回は、最新のデータを元に、フランチャイズの店舗数をご紹介します!
フランチャイズ・チェーンの店舗数ランキング
今回の店舗数ランキングは、一般社団法人である、日本フランチャイズチェーン協会の統計調査結果(2020年4月~2021年3月)をもとに作成しています。
調査した機関や方法によっては、順位が変わる可能性があります。
いまだ新型コロナウイルスが、経済活動に大きな影響を及ぼしています。国の経済活動状況を表す実質GDPは、前年度より4.6%ダウンしています。
フランチャイズチェーンの店舗数は、前年より8,852店減少しました。
前回の調査では増加した売上高も、今回の調査では1兆2,276億円少ない結果に…。
どの業界も、経済的ダメージを受けた1年間だったようです。
店舗数ランキングは以下の通り。
職業紹介、家事支援、マッサージ、介護、ペット関連、冠婚葬祭業、保育所、運送業、情報等
4位:医薬品・書籍・スポーツ用品・中古品等小売…20,205店
5位:リース・レンタルサービス…12,047店
6位:住宅建築・リフォーム・ビルメンテナンス…10,486店
7位:各種総合小売…10,034店
8位:その他ファーストフード…7,872店
サンドイッチ、フライドチキン、ドーナツ、うどん、お好み焼き・たい焼き店等
9位:コーヒーショップ…6,479店
10位:持ち帰り寿司・弁当店…6,415店
1位:コンビニ…57,999店
最も店舗数が多い業種は、コンビニエンスストアでした。前年度に引き続き、ナンバーワンです。
その数は57,999店。前回より0.1%増加しています。
前回集計時はさまざまな問題が話題に上がったのもあり、店舗数は減少してしまいました。それを考えると、わずかではありますが回復しています。
一方で、売上高は前年比95.3%と4.7%減少する結果に。原因として、コロナ対策による人流抑制があげられます。フランチャイズ本部は、総菜や「中食」を充実させたり、宅配サービスに力を入れたりして、新たなニーズに対応しています。
例えば、セブン‐イレブンでは、スマホから商品を注文できるシステム「7NOW(旧セブン‐イレブンネットコンビニ)」の全国展開を目指しています。
ファミリーマートは、商品陳列を自動化した店舗がオープンしました。
コンビニ業は、市場の飽和状態や深刻な人手不足など、大きな課題に直面しています。
開業する際には、これらの課題に対する本部の考えをチェックすることをおすすめします。
2位:学習塾・カルチャースクール…32,772店
学習塾・カルチャースクールも前年度に引き続き、店舗数ランキング2位を獲得しました。
店舗数は32,772店。前回の集計から656店舗減少しています。売上高も前年比90%と、厳しい結果に。
学習塾業では、オンラインを利用したサービスが充実してきて、今後も拡大していくと予想されます。
経済産業省が公開した記事によると、売上高は7月ころから持ち直しています。少子化は進んでいるものの、顧客獲得のチャンスはまだまだありそうです。
一方で、業界内の競争は激しくなっています。
動画配信サービスを活用した月額制サービスが登場したり、非フランチャイズ形態のモデルが登場したり…
ライバル社は多く、大手企業ですら経営が厳しいところもあるようです。
学習塾業で開業するなら、加盟店オーナーの努力がより一層欠かせない…。個人的にそう感じました。
4位:その他サービス …23,669店
(職業紹介、家事支援、マッサージ、介護、ペット関連、冠婚葬祭業、保育所、運送業、情報等)
サービス業も全体的に伸び悩んだ一年でした。一部の業種を除いたすべての業種で、店舗数はマイナスになっています。売上高を見ると、前年度を上回る業種はありませんでした。
そのためか、いくつかの業種が含まれる「その他サービス」が4位にランクイン。売上高も前年比99.2%で、サービス業の中では最も良い結果です。
「その他サービス」には家事支援サービスや運送業など、これからの生活様式にマッチしたビジネスが含まれるため、将来性には期待が持てそうです。
特に家事支援サービスは、低予算で開業できるビジネスとして注目を集めています。基本的に道具はお客様の家にあるものを使うため、必要な道具が少ないからです。作業するのはお客様の家なので、店舗を構えなくてもいい場合もあります。
ひとり暮らしの高齢者や共働き世帯などをターゲットに、ビジネスを拡大しているオーナーも多いです。
「その他サービス」には含まれていませんが、ハウスクリーニング業は前年より売上高が好調で、4.2%増加していたそうです。
ウイルス対策として衛生意識が高まったこと、在宅時間が増えたことなどが理由として考えられます。
4位:医薬品・書籍・スポーツ用品・中古品等小売…20,205店
薬局、 化粧品、書籍、文具、印章店、リユース、 スポーツ用品店、カメラ時計店の合計です。
店舗数は前年度より減少したものの、売上高は2.3%上回る結果になりました。
医薬品・化粧品だけで見ると、店舗数も増加しています。マスクや消毒液などの感染症対策商品が売上高に貢献したようです。
2021年は訪日需要が落ち込んでしまいました。しかし、2022年6月10日から訪日観光客の受け入れが再開したため、インバウンド需要が回復する可能性があります。
中古品売買も、まだまだ成長するといわれています。
近年リサイクルに対する意識が高まっていて、不用品を処分するために業者に依頼する人が増えています。フリマアプリで売買する人も多いですが、機械操作が苦手な人やネットトラブルを避けたい人も少なくありません。
特にブランド品や貴金属類は、適正価格で買い取ってほしいもの。買い取りのチャンスはまだあります。
5位:リース・レンタルサービス…12,047店
CD・DVDから建設機器まで、幅広いものがレンタルできるリース・レンタルサービス。前年と同じく、5位に入りました。
店舗数は12,047店。前回の集計時から123店少なくなってしまいました。売上高も前年比90.8%と9.2%少ない結果に。
リース業界では、テレビ会議システムや配膳ロボットなど、ロボットに対する需要が伸びました。感染対策にロボットを導入したいが、購入する前に試したい…。そんな企業が多かったんだそう。
そんなリース業ですが、2006年頃から厳しい状況が続いていて、「いずれリース業界がなくなるのでは?」という声もあります。
ですが取り扱う物によっては好調な分野もありますし、注目されている「循環型社会」の形成に役立つといわれています。
需要のある商品を扱う本部を選ぶことで、安定した利益が得られるかもしれません。
6位:住宅建築・リフォーム・ビルメンテナンス…10,486店
ほとんどのサービス業が店舗数を減らす中、住宅建築・ビルメンテナンスなどは店舗数が23店増加しました。一方で、売上高は前年度から8%減少しています。
法人限定の本部も多いですが、脱サラや副業でも契約できる本部もあります。経験の浅い加盟店が生き残るには、売れるためのシステムだけでなく、一歩踏み込んだアドバイスが欠かせません。本部も、業務の効率化や営業トークのコツなど、細かな経営ノウハウを提供しています。
そのためか、業績のある工務店が加盟するケースも多いです。
他にも、コンセプトや価格帯の異なる複数のブランドを展開する本部が増えています。多様化するニーズに対応できるので、より多くの顧客を獲得できます。
本部選びの際は、本部のコンサルティング力や、展開するブランドなどに注目してみてはいかがでしょうか。
7位:各種総合小売…10,034店
ここでは、スーパーマーケット、ワンプライスショップ(100 円ショップ)、業務スーパー、ホームセンターなどをあわせて「各種総合小売」としています。
店舗数は前回の集計から276店増加、売上高も前年度から9.8%増えています。全体的に厳しい状況の中、安定した結果が出ました。
こまかく見ていくと、スーパーマーケットは売上高が好調で12.2%の増加です。在宅時間が増えて、料理をする機会が増えたからといわれています。
確かに、ちょっとこだわった料理のレシピが人気だった気がします…。
100円ショップも、日用品や消耗品などを扱っていたため、堅調に売り上げを伸ばしていました。
まだ市場には拡大の余地があるといわれていますが、2022年からのインフレ・円安の加速が影響を及ぼすかもしれない…という意見もあります。
また小売業全体にいえることですが、売上高に占めるネット販売の割合が増えています。
今後はオンライン販売をいかに使いこなせるかが、カギになりそうです。
8位:その他ファーストフード…7,872店
(サンドイッチ、フライドチキン、ドーナツ、うどん、お好み焼き・たい焼き店等)
うどん、お好み焼き・たい焼きなどの和風ファーストフードを含む「その他ファーストフード」は前回に引き続き8位にランクイン。
一方、店舗数は502店減ってしまいました。売上高も前年比89.8%と10%近くのマイナスです。
新型コロナの感染拡大によるダメージが大きいのは、料理を提供する外食業です。
ファーストフード業界も、外出自粛の風潮が強まって客足が遠のいてしまった時期があります。「ファーストフードは滞在時間が短いから大丈夫!」と思っていても、やはり気になって行きにくい方も多かったのではないでしょうか。
ですが現在、ファーストフード業界は全体的に好調になりつつあります。
デリバリーサービスやテイクアウトメニューの充実に乗り出し、需要回復につながりました。ハンバーガー業などでは、2020年の後半から連続で増収になっているというデータもあります。他にも、新型コロナが現れる前の年より高水準で推移している…と公表しているメディアもあるようです。
ファーストフード業界は、テイクアウトや巣ごもり需要との相性が良く、市場拡大にも期待が持てます。
9位:コーヒーショップ…6,479店
「コーヒーショップ」には、喫茶店、カフェ、紅茶・緑茶などの専門店が含まれます。
脱サラ後のビジネスとして人気の喫茶店ですが、店舗数は前回に比べて117店減少しています。売上高も前年比70.9%と厳しい結果に。
喫茶店は2007年をピークに店舗減少が続いていて、市場も飽和状態といわれています。
ですがコーヒーの国内消費は年々増加傾向にあって、最近は「おいしいコーヒーを自宅で楽しみたい」というニーズが特に多いです。
テイクアウト専門店なら1坪でも開業を目指せるので、低資金での開業もできます。
カフェ業界では2021年後半からの経済再開の動きに伴い、需要回復に向かっています。
感染対策をスムーズに立てられる本部がねらい目かもしれません。
10位:持ち帰り寿司・弁当店…6,415店
前年度は9位にランクインしていた「持ち帰り寿司・弁当店」ですが、「コーヒーショップ」に追い越されてしまいました。
宅配サービスを提供しているチェーンは売上が好調でしたが、不採算店舗の撤退を進めるチェーンもあり、店舗数を623店減らす結果に。
一方、コロナ禍の中で回復を果たしたチェーンもあるそうです。
弁当業界では、高齢者向けのサービスを展開している本部が増えています。例えば、体力が落ちてくる高齢者に合ったお弁当を作ったり、出かけるのがつらいご家庭にお弁当を届けたりするサービスがあります。
一方で、仕出し弁当のような大口注文は減りつつあります。大人数で集まる機会が減ってしまい、一度に来る注文量も少なくなっています。
ニーズの多様化によって、お弁当のトレンドはせわしなく変わっていきます。
流行に合わせて柔軟にメニューを考えられるかが、明暗を分けるポイントです。
まとめ
どの業界も、まだ新型コロナの影響を受けている印象です。
今回調べてみたところ、集計期間が終った2021年4月頃から持ち直してきている業界がかなりありました。
経済再開の動きもあると思いますが、新しい生活様式がなじんできたから…というのもあるかもしれません。
今後も何があるか分からない世の中です。
ニーズの変化をいち早く察知して柔軟に対応できるスキルが、より一層求められています。