仕組み・ビジネス

【フランチャイズ加盟】保証金・加盟金って何のためにあるの?

帯付きの万札

フランチャイズに加盟する際、よく出てくる「保証金」と「加盟金」。
何のための支出か、ぼんやりした理解のままになっていませんか?
加盟の際にも本部から説明がありますが、あらかじめ知っておけばスムーズに理解できます。

今回は、知っておいて損はない「保証金」と「加盟金」について詳しく解説します。
本部とのトラブルを回避するためにも役立ちますよ!

フランチャイズでの「保証金」はどんな役割がある?

帯付の札束を渡す
「保証金」という言葉は、フランチャイズの加盟について調べると、必ず必要なものとして説明されていますね。
加盟金を免除している本部は多いのに、「保証金ゼロ円」のフランチャイズはあまり聞かないんです。
実は保証金には、加盟金やロイヤリティと大きく違った性質があるからなんです。

保証金は一時金として本部に預けるもので、解約する時に原則返還されます。
最終的に加盟店に戻ってくるお金なので、割引やゼロ円にはしません。

保証金の相場は、業種や業態、事業の規模によって変動します。
事業の規模が大きかったりすると、数千万円もの保証金を用意しないといけないところもあるようです。
保証金だけで数千万円もかかると、加盟をためらってしまいますよね…。

でも保証金には、加盟店側にとっても重要な役割があるんです。

保証金は、債務が果たせないときのためにある

保証金とは、加盟店の債務が支払われないときのためにある、保険のようなものです。
不動産の賃貸契約でいう「敷金」をイメージすると、分かりやすいかもしれません。

加盟店は、本部に毎月ロイヤリティを支払います。
売り上げが少なく赤字にだったとしても、支払わなければいけません。本部によっては、ロイヤリティの減額に対応してくれる場合もありますが…。
契約なので仕方ないのですが、「無い袖は振れない…」ということわざもありますよね。
そんなときのために、あらかじめ「保証金」としてまとまったお金を預けておくんです。

保証金は、「フランチャイズ契約によって発生するすべての債務」を担保していることがほとんどです。
ロイヤリティや研修費、広告宣伝費など本部に支払うべきものは全部、保証金で埋め合わせできる…ということですね。

ですが、本部によっては保証金が担保する範囲を限定している場合があります。
この担保する範囲が原因で法的問題に発展することもあり、大体のフランチャイズ本部は保証金が担保する範囲を明記しています。

もし記載がなかったり、内容が曖昧だったりした場合は、本部に説明を求めるようにしましょう。

契約終了で返ってくる…けれど、全額とは限らない

保証金は契約を解約するタイミングで精算を始めるのが一般的です。加盟店に債務が残っていれば、その分が引かれます。
そして残った金額が、解約する加盟店に戻ってくる仕組みです。
しかし保証金が返ってこないケースもあります。

例えば違約金が発生したとき。保証金を差し押さえられてしまうと、最悪の場合戻ってこない可能性があります。

また「保証金で担保する債務」以外の債務が残っていた場合にも注意が必要です。
民法では、当事者同士が同意するなどの要件を満たすことで、その債務を打ち消すことが出来るようになっています。
保証金で担保できない債務が、保証金で相殺できるんですね。そうすると、保証金は残らなくなるので返ってきません。

満額で返してもらうには、どうしたらいい?

保証金を満額で返してもらうには、支払うべきものはきちんと支払う。これに尽きます。

本部によっては、保証金から債務の支払いが行われたときに、加盟店に保証金を補充させているところも多いです。
赤字の追い打ちにならないように、赤字にならない経営を心がけましょう。

トラブルを起こさないように、本部と上手く連携をとることも大切です。
契約違反などの問題を起こしてしまうと、違約金や賠償金が発生してしまいます。そうなったら最悪の場合、保証金が差し押さえられてしまうかもしれません。

また、返還についての事前確認も重要です。

保証金の返還はどのように精算するのか、いつ、どの方法で返ってくるのか…。

契約書に書かれている場合がほとんどですが、しっかり把握しておきましょう。
基本的に何もしなくても精算してくれますが、加盟店側から手続きを申し込まなければならないところもあります。
ひどいところだと、なんだかんだ言い訳をつけて、うやむやにしようとすることも…

後手になってしまわないよう、解約の手続きをするときに、改めて保証金の返還について確認しておくことをオススメします。

フランチャイズでよく聞く「加盟金」の役割は?

デスクの上で拳を突き合わせる
フランチャイズならではの初期費用、「加盟金」。

入会手数料のようなもの…といえばそうなんですが、実はいくつかの役割があります。
そのため、100万円以上かかるプランも多くあります。
平成20年に行われた調査によると、加盟金の平均額は197万円だったそうです。

一方で加盟金の免除や、10万円ほどで済むプランも多いですよね。
「どっちの方が良いの?」と不安になる人もいるのではないでしょうか。
ここでは、その理由も含めて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ロイヤリティの前金という役割もある

フランチャイズの加盟金には、ロイヤリティの前金という役割も含まれています。
ロイヤリティとは、本部が提供するサポートや経営ノウハウなどの使用料です。

「まだサポートを受けていないのに?」と思うかもしれません。
加盟金は、本部が開業準備を行うための費用にも使われます。
例えば、立地調査やオープン前の研修などが含まれます。これらのサポートを行うために、加盟金が必要になるんですね。

加盟金の支払いは1回だけです。一方でロイヤリティは毎月支払います。
そのため加盟金は初期費用、ロイヤリティは経費として計上されます。

金額が大きい場合、分割払いで対応してくれる本部もありますよ。「初期費用が足りない」と諦めず、相談してみてください。

支払うタイミングは契約の前後

加盟金を支払うタイミングは、フランチャイズ本部によってばらつきがあります。
契約を結ぶ時に支払うのが一般的ですが、契約前に請求される場合もあります。その場合、注意点があります。
加盟金は、一度支払うと返ってきません。これは「加盟金不返還特約」といって、法的にも尊重されています。
契約に至らなかった場合でもほとんど返還されません。そのためトラブルに発展することも多いんです。

加盟金を支払うときは、そのフランチャイズ本部で起業するのか、よく検討してからにしたいですね。

返還されないってホント?

残念ながら、加盟金は返ってきません。法律にのっとって解決しようとしても、難しいのが現実です。
契約書には「一旦支払った加盟金は、どんな理由でも返還しません」といった意味合いの文言が書かれています。つまり、契約書にサインした後で「やっぱり解約します。加盟金は返してください」といっても、返ってきません。
開業前でも開業後でも、同じです。

ただし、例外的に加盟金が返還されるケースがあります。
例えば、本部のサポートが始まる前に解約した場合。ケースバイケースですが、「対価を受け取る前に解約した」と判断されて返還(一部返還)された例があるようです。
本部側に非があって、加盟店オーナーが開業できなかった場合などに多く見られます。

とはいえ、本部に加盟金の返還を求めるのは、かなりハードルの高い内容です。
法的トラブルに発展する場合もあるため、慎重に判断する必要があります。

「加盟金ゼロ」のカラクリ

フランチャイズの募集情報を見ていると、「加盟金ゼロ」「初期費用不要」といった言葉を見かけますよね。
とても魅力的ですが、安易に選ぶのは危険です。
加盟金が安いプランは、ロイヤリティが高かったり、別のお題目でお金をとられたりするからです。

加盟金はフランチャイズ本部のノウハウやサポートへの対価であり、ブランドを使うための「使用料」でもあります。
宣伝費や市場調査など、開業するためのサポートの費用でもあると考えている本部もあります。
何より、加盟金は本部にとって収入源の一つです。その分の利益は他でカバーしていると考えても良いでしょう。

だからといって、加盟金ゼロは悪いとは言い切れません。
初期費用が抑えられると、開業のハードルが下がりますし、失敗したときの損失も少なく済みます。
本部のサポート内容に満足できるなら、利用しない手はありませんよね。

初期費用の安さだけでは、本部の良し悪しは分かりません。
全体的な費用で見るとどうなのか、金額に見合ったサポートを提供してもらえるか…と、ふかん的に検討することをおすすめします。

他人事じゃない!実際にあったトラブルをご紹介

トラブルの話し合いをするサラリーマンと「訴訟問題」の看板
保証金と加盟金について、ご説明しました。
最後に、実際にあったトラブルについて、それぞれご紹介します。

さらにトラブルに発展した原因もまとめています。加入する際の参考にしてください。

保証金についてあったトラブル

保証金の返還請求に関する裁判は少なめです。
加盟店に返すと決まっているお金なので、本部は、正当な理由がない限り「返さない」とは言えません。

ただ、「保証金を返してくれない」と弁護士へ相談する話は、実際にあります。
債務が残っていたら、保証金は満額で返ってはきません。債務の分だけ少なくなって返ってきます。それで保証金がゼロになれば、戻ってきません。
ですが「債務が残っている」と噓をついて、保証金を返そうとしない本部があるのも事実です。
保証金をしっかり返してもらうなら、債務はどのくらいあるのか、必ず確認しましょう。

他にも、本部の倒産が原因で解約する場合、保証金の返還でトラブルになる話は多いです。
本部の破産手続きが始まってしまうと、保証金の返還請求は難しくなります。
どうしても回収したい人は、弁護士に相談・依頼をした方が失敗は少ないです。

加盟金の返還についてあったトラブル・裁判

加盟金の返還は、原則的に不可能です。
でも実際は、返還請求を巡って法的トラブルに発展するケースが多々あります。

契約を結んだものの、オープンを迎える前に解約することになった場合、加盟店側から、
「契約で得られる権利はまだ使ってない。それなのに加盟金が返ってこないのはおかしくないか?」
という声が上がり、そこから法的トラブルに発展するようです。

加盟金の返還が認められた例

この裁判では、本部に加盟金の一部返還が命ぜられました。

裁判を起こしたのは、飲食業のフランチャイズに加盟した法人です。
契約後、本部が立地調査や事業計画の立案などを行わなかったため、契約維持の意思を失いました。
この裁判では特に「加盟金の性質(役割)はどうなっているのか」「金額に見合った対価はあったのか」が争点になっています。

加盟店は、加盟金にはロイヤリティの先払い・店舗の内外装の資金も含まれていると主張しましたが、これは退けられました。
一方で、加盟金として支払った金額に見合った対価があったとは言えないと認められ、加盟金の一部を返還するよう命ぜられました。

この判例からも分かる通り、「加盟金の役割」は本部によって解釈が違います。
契約書や法定開示書面などを確認して、加盟金が何の対価として設定されているのか、把握しておくと安心です。

参考:神戸地方裁判所 平成15年7月24日 判決

加盟金が返還されなかった例

この裁判では、加盟金の返還は認められませんでした。

加盟店は、本部がフランチャイズ契約に基づいた情報提供義務や指導援助義務を怠り、そのせいで閉店に追い込まれたと主張。閉店した店舗と、まだオープンしていない店舗、2店舗分の加盟金の返還を求めました。
フランチャイズ契約には加盟金の不返還特約が定められていて、この有効性が争点になりました。

裁判所は、

  • 既出店の加盟金は、暴利行為で公序良俗に反しているとは認められない
  • 加盟金の不返還は加盟店も了解して契約したと認められる
  • 未出店の加盟金について、本部は加盟金の対価性を一応満たしている

と判断。
加盟店の要求は認められませんでした。

加盟金によって得られる対価を、一部でも手に入れてしまうと返還は認められなくなります。

まとめ

フランチャイズの加入でまず必要になる、保証金と加盟金について説明しました。
保証金は契約が終了したときに返ってくる特性があります。
一方、加盟金は一度支払うと原則返ってきません。

どちらも重要な役割があるお金です。100万円以上かかるものも多いため、法的トラブルに発展するケースが後を絶ちません。

トラブルを回避するためには、契約条件や契約内容を十分理解してから加盟することが大切。
初期費用だけでなく、長期的なランニングコストも計算しておきましょう。

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