脱サラを目指す人が気になるポイントのひとつ、「いつ退職するか」。
会社員でいる間に起業準備をすませて、退職直後に開業届を…となればスムーズですけれど、なかなか難しいもの。
退職してから起業準備に専念できればいいけれど、お金のことを考えるとなかなか勇気が出ませんよね。
そんなあなたに朗報!
実は、起業を考えている人でも条件を満たせば、失業保険が受け取れるんです!
ここでは知っている人しかもらえない、起業した場合の失業保険についてお伝えします。
起業を考えていても、条件を満たせば失業保険はもらえる!
起業のために退職を検討している人でも、条件さえ満たせば失業保険をもらえます。
以前は「起業のための退職」は対象外でしたが、平成26年から条件が変わりました。
その条件とは、
「求職活動中に創業の準備・検討をする」
…就職活動を行いながら、起業準備を進めていればいい。というワケなんです。
なんだかとんちを利かせたような条件ですが、厚生労働省が認めています。これには起業するフリをして失業保険を受け取る不正を防ぐ目的もあります。
確かに「起業準備中です」って、口だけならいくらでもごまかせますもんね…。
それに条件が変わった今でも「起業準備に専念する=就職する意思はない」と見なされてしまいます。
他の失業者と同じように、4週間に1度は就職活動の様子を報告して、就職活動中であると証明しないといけないんです。
失業保険を受け取るには2つの条件が
失業保険を受け取るには、「受給資格」をもっていることが大前提です。
まず、雇用保険にある程度の期間、加入していること。
雇用保険の被保険者として11日以上働いた月の数が基準を上回っていれば問題ありません。
自己都合退職の人なら、退職日以前の2年間で12か月。
会社都合退職の人なら、退職日以前の1年間で6か月。
足りない場合は、前職の勤務先での加入期間も合算できますよ。
次に、失業者であること。
ここでいう失業者とは、「就職する意思と能力があるのに、職に就けない人」のこと。
そのためケガや病気で退職した人は、少なくとも回復するまでは雇用保険を受け取れないんです。
「起業するから」という人は就職する意思がないので、この条件に当てはまりません。
なので、就職活動と並行して起業準備を進める必要があるんですね…。
資格があってももらえない?起業する人は特に注意するべきポイント
失業保険は受給資格があれば無条件でもらえる…というわけではなく、資格を持っているのに受け取れないケースも存在します。
特に起業を目指している方は、知らず知らずのうちに対象外になってしまうかもしれません。
事業を開始、または事業準備に専念する方
求職活動中に創業の準備・検討をする場合は受け取れます。
しかし雇用保険説明会には必ず参加して、4週間に一度の認定日には就職活動の実績を報告する必要があります。
自分の名義で事業を営んでいる方
これは「すでに起業している」と見なされます。
家業に従事する場合・会社の役員に就任する場合も受け取れなくなるので注意してくださいね。
開業準備が整った方
開業届の提出・事務所の賃貸契約締結などが、開業準備が整ったと見なされる条件です。
失業保険は、申請してすぐもらえるとは限りません。
自己都合退職の方は、申請してから約3か月の給付制限があります。
もしこの期間中に開業準備が整った場合、失業保険は受け取れなくなります。
その場合は、「再就職手当」をもらえる可能性があるので、以下に解説します!
失業保険がもらえなくても、再就職手当がもらえるケースも
失業保険の給付期間中に安定した職業に就職すると、残りの日数に応じて給付金がもらえます。
これが再就職手当。
再就職手当は、就職だけでなく起業した方も対象なんです!
申請するにはいくつかの条件をクリアしないといけません。
まずは所定給付日数が1/3以上残っていること。
日数が少ないと再就職手当は受け取れなくなります。
逆に2/3以上あると、支給額がアップします。
なら、失業者に認定されたらすぐ開業届を出せばおトク!…とはいかないんですよね。
自己都合退職の場合、失業保険を受け取るには待機期間の7日間に加えて、給付制限と呼ばれる期間が3か月あります。
その期間に入って最初の1か月間に開業してしまうと、対象外になってしまいます。
遅すぎても早すぎてもいけないんですね…。
他にも満たさないといけない条件があります。
詳しくは厚生労働省のHPを参考にしてくださいね。
まとめ
起業のための退職では、失業保険はもらえない。
そう思っている人はまだまだ多いです。
今回ご紹介したやり方は裏技でもなんでもなく、雇用保険に加入していた会社員なら当たり前の権利。
「就職活動をしているけど、起業も考えている」と窓口で相談して、退職後の生活を安定させながら次に備えたいですね。