フランチャイズ契約では、本部と加盟店は別々の事業者です。
アルバイトの労働管理を行うのは、雇用した加盟店オーナーの義務。
何かあったときは、加盟店の責任になります。
ここでは有給休暇をはじめとした労務管理について解説しています。
今はそんなつもりはないけれど、いつかアルバイトを雇おうと考えている人は必見ですよ!
法律で決まってる!有給付与・取得の条件とは?
有給の取得は全ての労働者に与えられた権利。
正社員だけでなくアルバイトの人も、条件さえ満たせば有給取得の権利があります。
その条件は以下の2つ。
- 半年以上継続して勤務している
- 所定労働日(契約時に定められた労働日数のこと)の8割以上の出勤
これらの条件を満たしていれば、アルバイトも有給を取得することができます。
ただし、勤務日数などによっては正社員ほどもらえないケースも。
こちらも含めて詳しくご説明します!
2019年の法改正で有給取得が義務化
2019年4月1日から、働き方改革法案が施行されました。
この法案には、年10日以上有給休暇の権利がある従業員について、年5日の有給休暇を取得させるというものがあります。
対象となるのは正社員だけでなく、条件を満たしたアルバイトも含まれます。
雇用側が、対象者に対して有給休暇を取得させない場合は、「30万円以下の罰金」を支払うことに。
「有給あるけど取らないでいいです!」なんて従業員がいても、雇用側が有給を取得させないければいけません!
一週間の勤務時間で変わる
週5日勤務の場合、半年勤務すれば10日の有給を取得することができます。
ただ、アルバイトには学生や主婦など、週1日~4日で働きたい人は多いでしょう。
そういった場合、週30時間未満かつ勤務日数に応じて有給休暇が取得できるようになっています。
これを「比例付与」といいます。
具体的な日数は以下の通り。
半年経過 | 1年半経過 | 2年半経過 | 3年半経過 | |
週4日 (年169日~216日) |
7日 | 8日 | 9日 | 10日 |
週3日 (年121日~168日) |
5日 | 6日 | 6日 | 8日 |
週2日 (年73日~120日) |
3日 | 4日 | 4日 | 5日 |
週1日 (年48日~72日) |
1日 | 2日 | 2日 | 2日 |
上記のように、働く日数によって取得できる有給の数が決まります。
勤続年数によっても変わる
勤務年数によっても付与される有給休暇の日数は変わります。
週4日勤務(年169日~216日)の人は、半年で7日、1年半で8日…と、長く働くほどに取得できる有給休暇の日数は増えていきます。
そして有給は2年間の有効期限があり、上限は最大40日。
例えば2020年9月末に有給を30日持っている人が、2018年10月1日に有給を10日付与されていた場合、2020年10月1日には2年前に取得した10日分が消えてしまい有給の保有数は20日になってしまいます。
前述したとおり、1度に付与される日数が10日以上だと、年に5日消化する義務が発生しますが、古いものから使わないと「使おうと思っていたらいつの間にかなくなっていた…」なんてことも。
ただ2020年4月1日より、労働基準法が見直され、「賃金」の消滅時効期間が原則5年(当分の間3年)となりました。
これに続く形で、有給の有効期限も変更される可能性もあるようです。
オーナーだからこそ知っておきたい労務管理について
労務管理とは、従業員の賃金や福利厚生、労働条件や休日など労働に関する管理業務全般のことを指します。
フランチャイズ加盟店を経営するのは本部ではなく、フランチャイズ契約を結んだオーナー自身です。
本部からサポートは得られますが、従業員の雇用など経営全般は自分で行わなければなりません。
従業員のパフォーマンスを最大限に発揮するためには、適切な管理が必要になります。
労働時間の管理
働き方改革により、従業員の健康を守るために「労働時間の把握が義務化」されました。
これにより労働時間の把握は必須となります。
事業者は、従業員の始業・終業時刻を、客観的に記録しておかなければなりません。
時間外労働時間の上限は原則「月45時間、年360時間」となっています。
労働時間の管理は、従業員の長時間労働を防ぎ、時間外労働や給与を正しく計算するために必要不可欠。
フランチャイズ加盟店でも従業員を管理するのはオーナー自身です。
「あの店はブラックだ」などと言われないために、看板を背負っている以上ブランドイメージを守りましょう。
人事評価・賃金の設定
フランチャイズ業界では、人手不足とともに離職率が高いことも課題となっています。
またアルバイトなど現場で働く従業員のモチベーションの維持は、店舗の売り上げに大きく影響します。
モチベーションの維持にもっとも有効なのは、やっぱりお金ですよね。
アルバイトリーダーやチーフ、コーチなどポジションを作り、ポジションに応じて昇給の基準を設定します。
評価シートを作成することで、従業員一人一人の能力と改善点を明白にし、次に何をすれば良いか把握しやすくするのもとてもオススメ。
コンビニなどでは、ポジションに関わらず従業員それぞれの能力に応じて時給を設定している店舗もあるんだとか。
人事評価制度を導入し時給や昇給の決定の基準を明確にすることで、スタッフのモチベーション向上に大きく役立ちます!
就業規則を作っておくと吉
就業規則とは、簡単に言えば従業員の給与や労働時間、休日休暇などの雇用主と従業員の間に作るルールのことです。
常時10人以上の従業員を雇用している会社は、就業規則の作成と届出が原則として義務付けられています。(労働基準法第89条)
職場の秩序を維持する上で、基本的なルールを定めておくことを忘れてはいけません。
人事評価や賃金の設定なども、就業規則に則っとることで公平に行うことができますよね。
義務はありませんが、不要なトラブルを防ぐために従業員が10人未満でも作ることをオススメします!
まとめ
働き方改革により、雇用側に対する世間の目は厳しくなっています。
労務管理は、売り上げに直結するフランチャイズ加盟店オーナーの大事な仕事です。
トラブルを避けるためにも、事前にしっかりと理解しておくことをオススメします。