物件ではなく、物件の住所を借りる「バーチャルオフィス」。
レンタルオフィスとも違う新しいスタイルのオフィスですが、古物許可証を申請するにあたってはどうなのか?
この他にも営業所を決める際に確認しておきたい3つのポイントをまとめました。
バーチャルオフィスで許可はまず取れません!
バーチャルオフィスは数千円から借りることができるので、節約するには魅力的ですよね。
だけど古物商の許可が取れるのか…気になりませんか?
結論からいってしまうと、「まず不可能」です。
交渉次第でなんとかなるかもしれませんが、「グレーに近い開業」になることが予想されるとのことで、オススメできません。
「条件の整ったレンタルオフィスを借りた方がまだマシ」のようです。
そもそもバーチャルオフィスって何?
「バーチャル(仮想)オフィス」の名の通り、物件の「住所」を借りる新しいスタイルのオフィスです。
電話番号も使えたり、会議室などとして利用できるようになっている場所もありますが、基本的にデスクなどは利用不可となっています。
クラウドサービスなどの発達により、会社に行って働くという必要性が薄れてきている中で、「事業を行っていくうえでの住所だけほしい」というニーズに応えるために生まれました。
ダメな理由1:「実態のない営業所」と受け取れる
バーチャルオフィスは、その名の通り「仮想のオフィス」です。
受付を置いたりしている場所もありますが、基本的に事務所としての実態はありません。
お客様が苦情を言うべく会社を訪れたら、そこは誰もいないオフィスだった…。
そんなことがあったら、信用はがた落ちですよね。
どの商売でも信用は大切ですが、古物商は特に「営業所」の信用性も注目されます。
警察も営業所がしっかりしているかは、特に注目しています。
2018年の法改正によって、「実態のない古物商」は許可証を取り消されるようになりました。
仮にバーチャルオフィスで申請が通っても、ある日突然許可証を失う可能性があります。
ダメな理由2:在庫を置いておけない
バーチャルオフィスは基本的に、私物の設置を禁止しています。
古物商は、在庫を置いておくことができない場所を営業所にすることはできません。
盗難の被害を受けやすくなったり、捜査の弊害になったりするからです。
「在庫は抱えないから」と言って、バーチャルオフィスで許可証を取得した話があるようですが、それは特例中の特例だそうです。
バーチャルオフィスの会社側からも、「古物商の営業にはオススメしません」と声が上がっています。
営業所を「なし」で申請できるのか?
申請書を見たことがある人は気づいているかもしれませんが、申請書には営業所の有無を問う項目があります。
ここまで営業所の条件が厳しいなら「なし」でもいいか…
そう思った方!
残念ながら、申請はまず通りません!
この項目は、昔の名残みたいなものだそうです。
昔、古物商の中には各地を転々としながら商いをする人(行商人)がいて、営業所を持たないため「なし」として申請していたそうです。
現在はこの方法で取引をする人はいないこと、「在庫を管理できること」が必須になっていることから、営業所を「なし」で取得することはほぼ不可能といわれています。
営業所を選ぶ際に抑えておきたいポイントは?
警察は「営業所」のどんな部分を見て、古物商許可を出すかどうか判断をしているのでしょうか。
「トラブルが発生した時、相手側が会社の場所や担当者をすぐに知ることができるかどうか」
「買い取った商品を適切に管理できる場所であるか」
など、いくつか基準があるようですので、ご紹介します。
以前の記事でも軽く触れていますので、そちらもご覧ください。
独立性があるか
レンタルオフィスで許可証を取得することが難しいのも、この独立性が関わっています。
独立性とは独立で管理できる構造のこと。
個室タイプのレンタルオフィスなら、独立性があるとみなされやすいです。
他社と共有している場合は、どの部分が申請したスペースなのかを明確にしておかなければなりません。
逆に自宅でも、すでに家族が古物商を営んでいると、「独立性がない」とみなされる場合があるので、注意が必要です。
そこで営業する権利をもっているか
賃貸物件やレンタルオフィスで申請する場合、この条件が意外と重要になってきます。
契約期間が短いと、「古物商許可証の取得だけが目的か?」と受け取られてしまい、審査が厳しくなります。
短い期間で更新する場合は、更新がされることを証明する書類(契約更新に関する合意書のコピーなど)を求められる場合もあります。
古物商の許可証を取得した後に営業所を移転した場合は、警察に行って手続きをふまないといけません。仮に申請が通っても手間が増えてしまうので、契約満了間近の状態で申請はオススメできません…。
まとめ
営業所については、詳しい人に相談するか、いっそ警察の担当者に尋ねてみるのが一番です。
最初はダメだと言われた場所でも、交渉次第で許可証が取得できた…という話もあります。
ですが、フランチャイズなら営業所に最適な物件を探してくれたり、サポートしてくれるので、オススメです。
いざというときのために、頭の隅に置いておくくらいで良いと思います。